2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel cascade asymmetric catalyses based on aldol-related reactions
Project/Area Number |
20H03364
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (50207792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 正晴 崇城大学, 薬学部, 教授 (00376592)
小谷 俊介 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 教授 (50551280)
下田 康嗣 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 特任助教 (50761350) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不斉触媒反応 / 有機分子触媒 / アルドール反応 / ホスフィンオキシド / 連続反応 / 立体選択的反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、当研究室で開発されてきた有機オキシド化合物によるトリクロロシリル化合物の活性化を基軸とした一連のアルドール関連反応を組み合わせることによって、新たな連続反応を開発することを目的としている。そのためには、組合させるべき新たな素反応群の開発、それを立体選択的に行う不斉触媒群の開発、そして実際にそれらを組み合わせて連続反応として組み込む工程が必要となる。初年度では、連続反応として組み合わせる素反応の開発と、それを立体選択的に行うための新規不斉触媒の開発を中心に研究を進めてきた。その結果、当研究室では開発したいくつかの反応の詳細な解析や、新しいアルドール関連反応を開発することにより、査読付き論文を4件(うち2報は総説論文)を公表し、国内学会にて成果を5件発表(口頭2件、ポスター3件)することができた。中でも、新たに開発されたアルデヒド間のクロスアルドール反応は、立体選択的連続化の可能性がある極めて有望な反応である。また、想定外の成果として発見できた、四塩化ケイ素を活性化剤とするオキセタンの不斉開環反応は、アルドール反応ではないものの、新たな連続反応の設計に向けて重要な知見をもたらしてくれた。また、本研究費にて購入したリサイクルカラムHPLCにより触媒の合成が効率化し、様々なホスフィンオキシド誘導体、N-オキシド等の有機オキシド化合物の大量合成を迅速に行うことができるようになった。研究開始1年目から大きな問題なく研究の立ち上がりを見せることができているので、初年度としては順調な進展を示すことができたと判断できる。そのため、現段階では研究計画の大きな変更は考えていない。今後、さらなる素反応開発と触媒の設計・合成を進めそれらを組み合わせた連続反応の実現を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれの研究室では、キラルなホスフィンオキシドがトリクロロシリル化合物を活性化することを基軸とした一連のアルドール関連反応を見出している。本研究課題では、アルドール関連反応を組み合わせた新たな立体選択的連続反応を開発することを目的としている。そのためには、組合させるべき新たな素反応群の開発、それを立体選択的に行う不斉触媒群の開発、そして実際にそれらを実際に組み合わせて立体選択的連続反応として組み込む工程が必要となる。初年度である今年度は、連続反応として組み合わせる素反応の開発と、それを立体選択的に行うための新規不斉触媒の開発を中心に研究を進めてきた。その結果、不斉アルドール-Tishchenko反応および無保護カルボン酸のアルドール反応の機構解析(いずれも本年度学会発表)四塩化チタニウムを活性化剤としたポリエンチオエステルの合成に有用なアルドール反応および四塩化ケイ素を活性化剤としたアルデヒド間のクロスアルドール反応(いずれも本年度論文発表)を開発することができた。特にアルデヒド間のクロスアルドール反応は、連続化の可能性が期待される極めて有望な反応である。また、想定外の成果として、四塩化ケイ素を活性化剤とするオキセタンの不斉開環反応(本年度学会発表)を発見することができた。本反応は、アルドール反応ではないものの、新たな反応の設計に向けて重要な知見をもたらしてくれた。その他、これまでの研究をまとめた総説論文を2報発表することができた。また、購入したリサイクルカラム高速液体クロマトグラフにより触媒の合成が効率化し、様々なホスフィンオキシド誘導体、N-オキシドなどの有機オキシド化合物の大量合成を迅速に行うことができるようになった。従って、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、反応開発と触媒の設計・合成という2本の柱と、それらを結びつけ、いわば本体と言うべき連続反応を実現こそが目的となっている。研究開始1年で、反応開発と触媒の設計・合成のいずれの項目でも、大きな問題なく研究の立ち上がりを見せることができたことから、初年度としては順調な進展を示すことができたと判断できる。そのため、研究を遂行する上で大きな支障は生じていないので、研究計画の変更は考えていない。基本的には、当初の予定通りの方針で研究を進めていくことにする。本研究費により初年度にリサイクルカラム液体クロマトグラフィーを購入できたため、それが触媒合成に大いに役に立ったことから、大きな支出の変更も予定してない。令年3年度は、初年度同様、素反応開発と触媒の設計・合成を進めていく予定であるが、反応としては、無保護の共役イミドを受容体としたアルドール反応や共役アミドを受容体としたMichael反応の開発を行いたい。また、触媒としては、今まで用いてきたホスフィンオキシドやN-オキシド以外の、これまで当研究室で扱ってこなかった全く異なる官能基を有する化合物の可能性を探る予定である。令和4年度も同様に、素反応開発と触媒の設計・合成に終止することになろう。但し、触媒に関しては、新しい官能基を有する新規触媒の設計・合成に力点を置くことになろう。令和5年度以降は、それまでに獲得した反応群と触媒群を組み合わせた連続反応の実現を目指す予定である。どの触媒がどの反応に最適か、そしてそれらのどの組み合わせが連続反応を実現する可能性があるかを見極めるのにしばらくはかかると思われる。最終年度には、それらを洗礼された立体選択的連続反応に仕上げ、研究課題を終了すべく努力する所存である。
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