2020 Fiscal Year Annual Research Report
脳の液性成分ダイナミクスにおけるメカノセンサーチャネルPIEZOの役割
Project/Area Number |
20H03387
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
田中 恵子 (野々村恵子) 基礎生物学研究所, 初期発生研究部門, 助教 (70799246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メカノセンサーチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、脳を取り巻く液性成分の脳機能への影響が明らかにされつつある。この脳の液性成分のダイナミクスには、流れや圧などの機械的な力の変化が含まれる。本研究では、脳を取り巻く液性成分への関連が示唆されてきた組織においてメカノセンサーチャネルPIEZOが発現していることに基づき、この組織においてPIEZOをノックアウトした際に、その組織や脳の液性成分へどのような影響が生じるかを調べるものである。PIEZOは細胞膜上にて細胞膜の張力の変化や膜の変形に応じて開口する非選択的なカチオンチャネルであり、活性化すると細胞内カルシウム濃度の亢進などが引き起こされる。本年度(1年目)は、組織特異的なコンディショナルノックアウトマウス系統を作成するためのCreマウス系統を導入し、Piezo floxマウス系統との掛け合わせを行った。掛け合わせにより得られたマウスの組織においてPiezoのmRNAの発現量が実際に低下しているかについての評価を開始した。また、これまでこの組織におけるPiezoの発現についてはmRNAにより評価していたが、これに加えて内在性のPIEZOタンパク質に蛍光タンパク質を融合させた形のノックインマウス系統を用いて、PIEZOタンパク質の発現についても評価を開始した。これに加え、この組織においてPIEZO活性やPIEZO依存的な応答などを評価するためのex vivoライブイメージング系の立ち上げを行ない、安定的なシグナルを観察することのできる条件を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度(1年目)はコンディショナルノックアウトマウスをマウス系統の掛け合わせにより作出し、実際にPiezoがノックアウトされているかをmRNAの発現量低下により確認することを第一の目的とした。この組織においてmRNAの分解を十分防いだ状態で組織を回収する条件の検討にやや時間がかかり、ノックアウト効率についての評価に遅れが生じた。このため、研究計画時に本年度の第二の目的としていた表現型の解析については本年度は計画よりも遅れが生じた。一方、計画の3年目および4年目に予定していたPIEZO依存的な応答の解析を検討するためのex vivoライブイメージング系の立ち上げについても本年度に行い、こちらについては安定した結果が得られる系の確立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
目的とする組織におけるmRNAの分解を防いだ状態で組織を回収する条件については、検討を進めてきており、結果も安定してきた。2,3ヶ月以内に解析サンプルを増やし、ノックアウト効率について結論がでると予想している。その後、計画に基づき表現型の解析を行う。
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