2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳の液性成分ダイナミクスにおけるメカノセンサーチャネルPIEZOの役割
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20H03387
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野々村 恵子 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70799246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メカノセンサー分子 / 脳発生 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳の液性ダイナミクスの恒常性維持におけるメカノセンシング機構の寄与を明らかにするために、メカノセンサー分子を脳の液性ダイナミクスに関わる組織で欠損させたマウスの解析を進めてきた。今年度は、昨年度までに発見した生後致死性と脳形態の異常の結果に基づき、発生生物学的な解析、分子生物学的な解析、および生理学的な解析を進めた。具体的には、遺伝子改変マウスの生後致死性が認められる時期の特定を発生ステージ毎のノックアウトマウスの同腹仔における比率を算出することにより解析した。この解析により、致死性が特定の発生タイミングから認められることを確認した。この致死性が認められ始めるタイミングにおいて、遺伝子改変マウスの脳組織の回収を行い、RNAシークエンス解析を行なったところ、脳の液性ダイナミクスとの関係が示唆される分子の発現に変動が認められた。これらの分子について、免疫染色により確認を進めた。これに加えて、液性成分の組成についてもパイロット解析を行い、良好な結果を得た。これらの結果は、脳の液性ダイナミクスおよびその制御機構が、脳発生の特定の発生ステージに変動することを示唆するものである。脳は発生過程でその形態が劇的に変化する臓器の一つである。このような脳脊髄液のダイナミクスを制御する分子機構が、高度な計算機能を持つ脳の発生に重要である可能性がある。今後は、脳の液性ダイナミクスの制御機構が脳の発生・発達に及ぼす影響の詳細について、さらに解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、遺伝子改変マウスの、1) 生後致死性が認められる時期の特定、2) 致死性が認められるタイミング以前で組織のRNAシークエンス解析を行い、致死性と関連しうる遺伝子発現変動の同定を行い、かつ、3) 液性成分の組成についてパイロット解析を行い良好な結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に行った液性成分の解析について、個体数を増やした解析を行い、異常が認められるかについて検証する。また、脳の機械的な要素のパラメーター測定についても、麻酔下の個体を用いて測定を行う。これらの解析の結果について、論文としてまとめ、国際的な科学誌に報告する。
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