2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pathophysiology of bone disorder in light of epigenetic alteration and comprehensive network of transcription factors
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20H03458
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
北澤 荘平 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90186239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 理子 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (00273780)
原口 竜摩 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00423690)
小原 幸弘 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (50792214)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 転写調節因子 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨組織は、骨を作る骨芽細胞と骨を吸収する破骨細胞の2種類の細胞のバランスで保たれており、この破綻は、骨粗鬆症、癌の溶骨性骨転移、骨巨細胞腫などの病態を引き起こす。申請者等は、破骨細胞形成に関わる種々の遺伝子(RANK-RANKL-OPG)発現調節領域をクローニングし、破骨細胞分化因子RANKLのGFP可視化マウスなど種々の改変動物を作製し、個体レベルの研究へ展開してきた。本申請課題では、これを一歩推し進め、加齢や糖尿病、骨転移巣で、遺伝子発現を制御する転写調節因子ネットワーク機構、エピジェネティクス変化について検討する。時間負荷(高継代数)の作用や生活習慣病による酸化的ストレスの作用を「遺伝子発現をpin-pointで規定するTATA-box直上のCpGメチル化による新規のエピジェネティクス機構」に着目し、個体レベルで検討する。またRANKL産生腫瘍で破骨細胞を誘導する骨巨細胞腫の病理組織や初代培養細胞を用いて、「ヒストン蛋白H3.3活性化による骨吸収メカニズム」を検討し、治療戦略に繋がる知見の集積を目指す。現在までに、実験モデルマウスの作成維持に成功し、現在形体計測と進めている。個体差により、骨増加する群と骨減少する群とに分けることが出来たので、今、その群毎の解析に入っている。別途開始した骨細胞株の長期培養系を試験管内で作成し、一ヶ月以上経った骨細胞で、基質中に包埋した細胞ではTATA-BOX近傍にメチル化が付加されるデータを得ている。これは試験管内の事象としては初めて生体レベルの老化現象を再現できたことであり、この実験系をもとに今後の研究展開を図る予定。しかしながら、長期の培養、マウスの継代維持には大変な労力と時間がかかるため、慎重に研究を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度より筑波大学との共同で開発した「RANKL発現細胞をGFPで可視化するノックインホモマウス」の実験系を確立し、RANKL(TNFSF11)遺伝子座の転写開始codon直下に、レポーター分子EGFPを挿入した遺伝子改変動物を筑波大学との共同で開発している。蛍光物質を増患させることに成功し、繊細な遺伝子発現の変化を追跡することが可能となった。 若齢と高齢マウスの骨組織比較によるRANKL発現細胞局在検討では、若齢マウスと高齢マウス個体の骨量測定を行い、RANKL発現細胞の量と分布の加齢変化について組織学的評価を行った。RANKL発現を示すGFP分布を、骨芽細胞系(Runx2, Osterix)、骨細胞(DMP-1, Sclerostin)形質の螢光免疫染色に重ね、RANKL発現細胞を同定した。TATA-box上流の1塩基置換マウスとの交配によるCpGメチル化機能解析については、MeCP2結合配列であるTATA-box直上のCpG部位を遺伝子編集によりGpG配列に置き換えた改変マウスを、H31年度に筑波大学と共同開発した。このpin-pointのメチル化によって、マウス頭蓋冠由来の一次培養骨芽細胞や骨髄組織ex vivo培養細胞でのRANKL発現の推移を評価すとともに、ノックインマウスと交配し、H29年に導入したIncuCyte生細胞解析システムを用いて、経時的なEGFP蛍光強度の変化を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルを作製して、酸化的ストレスマウス下での骨組織の解析と一次培養細胞(骨髄、脾臓)での破骨細胞形成能を評価することを目的として、STZ投与後にラットより経時的に採血し、糖尿病の発症を確認する。経時的にラットから脾臓、大腿骨、椎体骨、腎臓を採取し、骨組織、脾臓はマクロファージの初代培養へ供し、各臓器は4%パラホルムアルデヒドにて固定後、パラフィン包埋する。薄切標本を作製し、各組織を光学顕微鏡で観察し、病理形態学的変化を確認する。p16INK4aの発現状態を免疫組織化学で検討し、発現低下している組織よりmicrodissection法にて選択的に細胞を採取する。既述のアガロースビーズ法にてp16INK4a遺伝子上流領域のメチル化シトシンの分布およびミトコンドリアDNAのメチル化の有無について検討する。既報のメチル化特異的PCR(MSP)ではde novoでメチル化した非CpG部位を含むシトシンの状態を包括的に検討することが不可能なため、sodium bisulfite mapping法にて塩基単位での検討を行う。右図4に示すように、酸化的ストレスが8-OHdG等によるDNA修飾を起こし、そこにdnmt3bによりde novoでCpG非選択的な非定型的メチル化が付加され、さらに酸化的ストレスが除去された後には、主としてdnmt1により、CpG配列依存的な維持メチル化が生じ、定型的メチル化のみが保存されていることを想定している。以上の検討を進める中で、酸化的ストレスによるメチル化に一定のパターンが得られない場合には、dnmt1に加えてdnmt3a, 3b, 3Lを包めて解析する予定である。
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Research Products
(2 results)