2020 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線マイクロビームを活用した重イオントラック構造依存的な細胞致死効果の解明
Project/Area Number |
20H03634
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
大澤 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主任研究員 (90324681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 亜利紗 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学領域, 研究員(任常) (30773931)
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学領域, グループリーダー(定常) (70443067)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイクロビーム / 不活化断面積 / イオントラック構造 / ライブセルイメージング / FNTD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、量研機構内の陽子線マイクロビーム細胞照射装置SPICE、並びに、重粒子線がん治療装置HIMACの中エネルギービームコース(MEXP)、 細胞培養施設を用いて5ヵ年の計画で進める。以下の2課題に取り組み、重粒子線イオントラック構造依存的な細胞致死効果を解明する。 1. マイクロビーム照射で細胞致死のターゲットサイズ(不活化断面積)とその決定根拠を明らかにする 2. ブロードビーム照射で生細胞のDNA修復速度から損傷複雑性を定量し、イオントラック構造、致死との相関から、その決定根拠を実証する。 今年度では、SPICEマイクロビーム照射による細胞核内局所線量分布を評価した。局所線量評価には高精度なマイクロビームサイズが必要となる。蛍光飛跡検出器(FNTD)にマイクロビームを粒子数制御して照射し、それによってできるFNTD内の陽子線トラックの蛍光スポットを共焦点レーザー顕微鏡で深さ方向に撮像し画像解析することで、ビームサイズの照射粒子数依存性を広範囲にわたって測定した。続いて、得られたビームサイズと3.4 MeV陽子線の水中におけるイオントラック構造から細胞核内の局所線量分布を模擬計算し、その照射粒子数依存性を評価した。さらに、培養細胞へのHIMACの炭素線ブロードビーム照射により、コロニー形成法で生存率曲線の取得し不活化断面積σを評価した。不活化断面積σは細胞生存率 SF とビームフルエンス Fを用いて、SF = exp(-σ*F)の関係にあり、ビームフルエンスに対する細胞生存率を線形-対数プロットすれば、得られた直線の傾きとして求まる。LET2点に対してビームフルエンス5点で生存率曲線を測定し、そのLETに対する不活化断面積を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SPICEを常設した静電加速器施設に隣接して建設されている新棟の工事により僅かな振動が発生し、マイクロビームの細胞照射で十分な精度が得られなかったため。また、新型コロナウイルスの影響により顕微鏡用部品、試薬等の納品が大幅に遅れたことでマシンタイムの日程調整に不具合が生じたため、本研究課題の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
HIMACの炭素線ブロードビーム照射で生存率曲線の取得と不活化断面積σの評価を行ったが、統計精度が不十分なため、今後は、照射条件、並びに、コロニー形成法の細胞播種条件の最適化を行う。微小核形成率も取得する。
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