2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Mechanism of Spread Through Air Space in Lung Cancer
Project/Area Number |
20H03772
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
矢追 毅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40311914)
伊東 恭子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80243301)
下村 雅律 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90433268)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺癌 / STAS / 気腔内転移 / CTOS |
Outline of Annual Research Achievements |
Spread Through Air Spaces (STAS)は,原発性肺癌における新たな腫瘍進展形態として認知され,時に転移性肺腫瘍でも報告がある.一般的に予後不良因子のひとつされるが,その病理病態は明らかにされていない. まず,切除検体保存標本を組織学的にレビューしSTASの臨床病理学的意義について評価を行った.結果として,1期肺腺癌の42.5%の症例でSTASを認め,5年全生存率はSTAS陽性群で86.0%,STAS陰性群で98.6%と有意にSTAS陽性例は予後不良であった.無再発生存率はSTAS陽性群で65.9%,STAS陰性群で96.4%と有意にSTAS陽性例は予後不良であった.STAS陽性例は,浸潤腫瘍径が大きく,腫瘍マーカーCEAが高値で,脈管浸潤が多く,PET-CTでSUVmaxが高値で,組織学的にmicropapillary patternを示す症例が多かった.すなわちSTASは有意な独立予後因子であった.以上の結果については,Lung Cancerに掲載された. 次いで,Cancer Tissue-Originated Spheroid (CTOS) 法で調整したオルガノイドを用いて,in vitroにおいてSTASを再現するモデルの作成を行った.マウス肺より気道オルガノイドを調製し、2次元培養したものを気道上皮モデルとして用い、がんオルガノイドとの共培養による接着実験を行った。apical-out CTOSはapical-in CTOSよりも接着率が高かった。このことから癌-気道上皮間の接着にはapical membrane間の相互作用が重要であると考えられる。今後は炎症性サイトカインによる作用あわせて評価する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床病理学的研究のデータを踏まえて,in vitroでのメカニズム解明に進んでいる.共同研究の中で,当初の計画通り進捗していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
炎症はがん転移を促進するという報告をふまえ、炎症性サイトカインによる接着への影響を検討する。気道上皮細胞のみをTGF-β1で前処理した後、共培養したところ、接着率が有意に上昇した。このことからTGF-β1が気道上皮に作用しSTASを誘発する可能性が示唆された。現在TGF-β1処理した気道上皮とCTOSのapical membrane間の相互作用に関与する分子の解析を行う予定である.
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