2021 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスベクター基盤技術開発と脳神経疾患に対する遺伝子細胞療法
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20H03788
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 尚巳 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00326828)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遺伝子細胞療法 / 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な難治性脳神経疾患において分子病態と臨床情報との繋がりが解明され、遺伝子編集や幹細胞を応用した遺伝子細胞治療の可能性が期待されているが、遺伝子送達担体や組織標的技術に関しさらなる技術革新が求められている。我々は、神経筋組織で治療タンパク質を効果的に補充するためのベクター関連技術、間葉系細胞を応用した脳虚血再灌流障害に対する炎症制御療法、悪性神経膠腫に対する標的化遺伝子増幅療法を開発してきた。これらをさらに発展させ、脳虚血再灌流障害や悪性神経膠種に対する新規治療法の開発を推進するため、治療遺伝子の送達や細胞プラットフォームに関連する基盤技術の開発と改良が求められる。本研究では、独自のベクターゲノム設計、ベクター製造・精製、幹細胞解析に関する技術を統合し、難治性脳神経疾患に対する遺伝子細胞療法の医療実装に向けた技術革新を推進することを目的とした。組織幹細胞の分泌小胞を応用した脳虚血再灌流障害の治療では移植細胞の長期生存が不要である。このため、細胞の遺伝子修飾においては、染色体挿入を伴うレンチウイルスベクターよりも、染色体挿入を伴わず安全性が高いAAVベクターが有用である。次世代のAAVベクターとMSCを用いた遺伝子細胞治療の開発に向け、ベクター関連技術の開発を推進すると同時に、間葉系細胞の特徴を解析し炎症制御に重要な機能を検証した。また、遺伝子増幅MSCを応用した悪性神経膠腫の免疫自殺遺伝子治療に関し、適切なMSCのプラットフォームを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子挿入を伴わないAAVベクターとMSCを用いた体外法遺伝子治療の開発に向け、基盤技術の検証を行った。遺伝子挿入や不要配列誤封入のリスク低減化に向けPCR産物をAAVカプシドに封入する技術の開発を進めた。また、細胞外小胞に包まれたAAVを活用した炎症性疾患治療の可能性について考察を行った。間葉系細胞に関し、由来組織の特徴を考慮し炎症制御に重要な機能を検証した。脳梗塞急性期の脳虚血再灌流障害における間葉系細胞の作用機構として、さまざまなサイトカインやケモカインによるミクログリア活性化およびリンパ球増殖の制御や調節性T細胞の誘導について考察を行った。また、遺伝子増幅MSCを応用した悪性神経膠腫の自殺遺伝子細胞治療に関し、MSCのプラットフォームを検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、AAV関連技術を活用した遺伝子導入法の検討を推進する。また、間葉系細胞の特徴を解析し、脳虚血再灌流障害組織における炎症制御効果や重要な機能分子を探索する。安全で臨床的効果が高い細胞性医薬品の規格決定に向け、MSCの機能を検証する。生体での機能評価に向け、機能検証用マーカー、自殺遺伝子変異活性体や腫瘍特異的変異抗原を発現するベクターコンポーネントを検証する。
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Research Products
(14 results)