2020 Fiscal Year Annual Research Report
前庭に影響する新規物理的環境因子のリスク評価と予知・予防法の開発
Project/Area Number |
20H03929
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大神 信孝 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80424919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 和宜 名城大学, 薬学部, 助教 (10816242)
加藤 正史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362317)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 低周波騒音 / 平衡感覚障害 / 前庭 / 内耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】低周波騒音(LFN)は、ヒトには殆ど聞こえない100 ヘルツ(Hz)以下の周波数を持つ騒音と定義され、空調・電気機器・重機等から最大100デシベル(dB)の音量で発生している物理的環境因子である。LFNは、会話音域の騒音と異なり、健康リスク評価法や環境基準値だけでなく、予防技術も確立されていない。代表者らはLFN発生装置を開発し、LFNをマウスに曝露すると平衡感覚障害が誘発される事を初めて明らかにした。本研究は、マウスを対象にしたLFNの過剰曝露のリスク評価により、平衡感覚障害と耳石膜ダメージを誘発する音量と時間の閾値を確定し、予知・予防法を開発すると共に、ヒトで有効性を検証する。 【成果】過去の報告で環境物理刺激を用いたpre-conditioning therapyを、疾患モデルマウスに対して実施すると、健康リスクを予防出来る事が示されている。過去の我々の研究成果でセットアップした前庭の器官培養系を用いたリスク評価を用いて、LFNによる健康リスクを予防できるか予備検討を進めている。今年度はフィールドワークにより屋外のLFNの発生源を調査し音源をサンプリングした。今後、サンプリング騒音を用いたリスク評価も実施する予定である。また、健常人を対象にcVEMPや重心動揺計の成績により、健康リスク影響を評価する予備検討も進めている。 【意義、重要性】LFNのリスク評価について、in vitroやex vivoで評価方法は限られている。本研究の成果によりリスク評価が進み、予知・予防法を開発できる事が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いたLFNのリスク評価は概ね計画通りに進行している。LFNのリスクは平衡感覚以外の生理機能への影響も解析を進めている。健常人を対象にした解析も既に着手しており、有望な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスを対象にした低周波騒音のリスク評価を前庭器官培養系や行動解析を用いて多角的に進める。前庭の器官培養実験は、生理機能を保持したまま前庭組織を採取する事が肝要である為、実験担当者に短時間で効率よく内耳から前庭器を採取する手技に慣れるよう、実験を繰り返し、再現性を検証する予定である。ヒトを対象にした評価も進め、今後は得られたデータをまとめ、論文発表の準備を進める予定である。
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