2022 Fiscal Year Annual Research Report
拘縮と廃用性筋力低下の問題を解決に導く次世代型療養支援体系の構築
Project/Area Number |
20H04033
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
中野 聡太 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (50615317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掃本 誠治 熊本大学, 病院, 客員教授 (30535638)
岡田 裕隆 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (40435160)
和田 親宗 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (50281837)
山本 恵子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (60274982)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 廃用性筋力低下 / 模倣要介助者支援体験法 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃用性筋力低下に対する模倣要介助者支援体験法の効果検証を行った.新型コロナウイルス感染症の影響で参加高齢者が8名にとどまり,コントロール群(以下,CT群),模倣要介助者支援体験法による介入を行う群(以下,模倣群)を4名ずつとなるようくじ引きにて群分けした.また,計測時期についてベースライン時,2箇月後,4箇月後(以下,最終評価時)を予定していたが,ベースライン時と最終評価時の計2回となった. 大腿直筋(Rectus Femoris:以下,RF),中間広筋(Vastus Intermedius:以下,VI)を選択し筋厚を計測した.最終評価時のVIではCT群2名の片側,模倣群1名の片側に筋厚の減少を認めた.一方,RFではCT群1名の片側と模倣群1名の片側を除いた肢の全てで筋厚の減少を認めた.ベースライン時の値を基準に最終評価時における筋厚の変化値を求めた結果,右側RFではCT群-2.6±2.9mm,模倣群-2.7±1.9mm,左側RFではCT群-0.9±2.4mm,模倣群-1.4±2.9mmであった.また,右側VIではCT群1.4±2.6mm,模倣群1.4±2.6mm,左側VIではCT群0.4±0.4mm,模倣群2.3±2.2mmであった. 車椅子から離殿する際の下肢荷重量を体重で正規化した下肢荷重率を算出し,最終評価時での増減について確認した.結果,CT群で-26.1±25.3%,模倣群で-14.9±29.2%であった. 群に関係なくRFは減少し,VIは変化がないか増加する傾向を示したが,模倣群の左側VI値はCT群のそれに比べ相対的に増加が大きいものと考えられた.ベースライン時におけるCT群の筋萎縮の程度が強く,模倣要介助者支援体験法に廃用性筋力低下の予防効果がないと結論付けることはできない.今後十分なデータ数を確保し,結論を出す必要があると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症により研究協力施設となる高齢者施設の協力が得られず,データ収集に不可欠な調査が遅れたため.
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Strategy for Future Research Activity |
関節固定化を解除する資源の開発の1つとして進めてきた拮抗筋への電気刺激に関する調査研究について,実際に肩関節内転位固定を認める高齢者を対象とした検証の段階で,対象候補者の代諾者並びに施設職員等の関係者の理解を得ることが難しく実施困難となっていた.その後,1施設で協力が得られ,同施設の少数例に対して行った結果をまとめ令和5年度分として報告する. 模倣要介護者支援体験法による廃用性筋萎縮の予防効果については,現段階では効果の有無について結論付けることはできないため,今後データ数を増やし結論を出す必要がある.一方,模倣群で下肢荷重率の減少がCT群より抑えられる傾向がみられたことから,令和6年度に予定している療養高齢者の新たな支援体系の構築に資する知識及び技術を学ぶための看護師及び介護福祉士向けe-Learning教材の主題を移乗支援に設定した.その進捗と令和6年度を含めた今後の研究の推進方策を令和5年度分にて報告する.
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