2020 Fiscal Year Annual Research Report
経路選択ゲームを用いた交通渋滞の定量評価と交通施策基盤の整備
Project/Area Number |
20H04146
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高橋 里司 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40709193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 徳朗 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (80433142)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 経路選択ゲーム / 動的交通流 / 近似計算 / 無秩序の代償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,(1)利己的経路選択ゲームを現実の交通をモデル化できるように拡張し,(2)その均衡状態を効率よく計算できるアルゴリズムを開発し,(3)適切な交通政策を立案できる機構を構築することである.2021年度および繰越による2022年度前半では,次の研究課題を設定し研究に取り組んだ.利己的経路選択ゲームにおけるNash均衡の感度分析および,動的経路選択ゲームの拡張可能な定式化と制御に関する数理モデルの整備. 一般的に利己的経路選択ゲームにおけるNash均衡の計算は全ての経路を考慮しなければならず非常に時間がかかる.本研究では,一部の経路のみを用いて算出したNash均衡と全ての経路を用いたNash均衡の比較分析を行った.経路本数の制限を一様マトロイド制約として表現し,資源制約付き経路選択ゲームを凸計画問題として最適化問題の定式化を行った.実験では,使用経路数が非常に小さくてもNash均衡の比較において有意な差がないことを統計的に明らかにした.本研究により,高速に有用な近似解を得られる手法を確立することができた. 一方,動的経路選択ゲームでは,Seringによる一連の動的交通流モデルに対する研究で議論されている研究課題をできるだけ表現可能な統一のフレームワークの構築を目指した.交通制御を行列表現として与え,ある種の線形システムの解集合が戦略集合であるようなゲームを考え,等かな定式化であることを示した.また,車の交通において,一般車両と緊急車両のような優先度の異なるプレイヤーを考慮したモデルを構築し,社会的最適解とNash均衡の比である無秩序の代償を計算し,漸近的に1に近づくことを実験により示した.これらの一連の研究に対して適切な統計処理や被験者実験を予定していたが,COVID-19の為ぞれぞれの課題は次年度へ持ち越すこととなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の進捗において,計算機実験をいくつか実施し,多数の数値データを得た.これらの一連の研究に対して適切な統計処理による評価を予定していたが,COVID-19の為共同研究者との十分な研究打合せができず次年度に持ち越すことになった.また,海外の研究協力者からの実データの提供を予定していたが,これも同様の理由で次年度に持ち越すことになった.さらに,構築したモデルを用いた被験者実験を実施し,理論との乖離や社会実装の検討を予定していたが,同じ理由により次年度へ持ち越すことになった. そのほかは概ね順調に推進できていると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,昨年度行うことのできなかった(1)計算機実験結果の統計評価及び実データを用いた計算機実験(2)被験者実験の計画と実施をを進める.また,(3)微分方程式系の解法を基にした進化計算手法でのアルゴリズム構築を目指す. 具体的には計算機実験の結果の統計評価および実データを用いた計算機実験については,共同研究者および研究協力者と打ち合わせを行い,統計検定による実験結果の比較及び実社会への適用を想定したモデルの評価を行う.被験者実験では,実際の人間が考える戦略集合の理解,学習による行動変容を明らかにし,理論の正確性もしくは理論からの乖離性を調査する. 最後に動的経路選択ゲームを微分方程式として力学モデル用いて定式化し,その振る舞いを数値実験によって調査する.さらに,精度保証によって近似精度を見積もる数理モデルおよびその解法の確立を目指す.
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