2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of hIgh-fidelity Mechanical simulator of the human trunk with internal organs
Project/Area Number |
20H04198
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山田 貴博 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40240022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 和己 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (00377110)
槙山 和秀 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40347307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生体力学 / 人体幹 / 数値シミュレーション / 内蔵組織 / メタモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,コンピュータによって支援された安全かつ高度な外科手術(Computer Aided Surgery)に資する技術として,内視鏡下・ロボット補助下の手術における患者個別シミュレーション・ナビゲーションシステムの基盤となる臨床応用可能な高精度かつ高速な骨格系を含めた体幹内組織全体の力学モデルの構築とそのシミュレーション技術の開発である. 本研究課題では,体幹の力学モデルに対する基礎データである内蔵等の材料物性の計測を行う.ここでは,手術直後の摘出臓器に対して,載荷点を変更しながら押し込み載荷を複数回実施し,計測された応答変位と臓器モデルの有限要素解析の計算結果を比較する逆解析手法により物性同定を行う手法を開発する.令和2年度は令和元年度までの研究課題によって開発された装置を用い,検証用の模擬臓器を作成し,実際に計測と逆解析を行い,開発した手法の妥当性の確認を行った.その結果,載荷点の表面の方向と載荷方向の関係,鉛直方向ではない荷重の計測方法,臓器の支持方法等の課題を明確化することができた. 本研究課題では,体幹全体の力学モデルの高精度なシミュレーション結果を高速に得る方法として,機械学習を用いたメタモデリング技術を開発する.令和2年度の研究では,接触等の複雑な境界条件に対応できる技術を目指し,変形挙動については数値計算結果を教師データとした機械学習を用い,接触条件は機械学習の出力から条件に適合するものを選択する手法を開発した. さらに,生体の軟組織の変形をシミュレーションするための微圧縮性固体の有限要素解析において,ロバストな計算を実現するための新しい分離型時間積分手法を開発した.この手法では,等容変形成分に対しては動的陽解法として計算し,体積変形成分は圧力を未知数とする陰解法とすることで,等容変形成分すなわち軟組織の剛性で時間刻みを決定できるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,「1.骨格系を考慮した高精度な体幹の力学モデルの作成手法」,「2.機械学習を用いた体幹全体の力学モデルに対するメタモデリング技術」,「3.力学モデルの妥当性確認のための非侵襲な体幹の力学応答の計測技術」の3つの技術的課題を設定し,研究を進めている. 課題1に関しては,人体幹の力学モデルは幾何学的モデル化を基礎とするが,幾何学的な表現方法は力学モデルに対する数値計算手法に依存する部分が多いため,数値計算手法の研究を先行して進めている.したがって,当初計画よりはやや遅れていると考えている. 一方,課題2に対しては,機械学習を用いたメタモデリングの基礎的な技術は確立しつつある.また,機械学習の教師データを作成するためのロバストな有限要素解析につながる時間積分手法が令和2年度に開発された.したがって,この研究課題については,当初計画より進んでいると思われる. 課題3については,平成元年度までの研究課題の成果を引き継ぎ研究を進めているが,開発した手法の妥当性の確認したことで更なる改良の必要性が明確化されたところである. 以上から,本研究課題全体に対する総合的な進捗の評価としては,現在までおおむね順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的である高精度かつ高速な骨格系を含めた体幹内組織全体の力学モデルの構築とそのシミュレーション技術の開発に向けて,進捗状況で示した3つの研究課題に対して令和3年度以降の推進方策を考える. 課題1については,まず人体幹の力学モデルのシミュレーションに必要な数値計算手法の要素技術を確立し,それらに沿った幾何学モデル作成の検討を行う.特に材料の微圧縮性から従来はあまり検討されていなかった非線形性の陽的な取り扱いが,令和2年度に開発した分離型時間積分により可能となり,ロバストな陽的解法の形で数値シミュレーション技術の枠組みを確立する.また,幾何学モデルの生成については,研究分担者が別途実施している医療画像からの臓器モデルを機械学習を用いて生成する研究を援用することで研究の進展を加速したい. 課題2については,機械学習を用いたメタモデリングの基礎的な技術について,これまで単純化されたはりモデルで検証を行っていたものをより現実に近いソリッド要素のモデルに適用し,教師データの生成方法を含めた検討を進める. 課題3については,摘出直後臓器の材料物性同定手法における技術的な問題点とその解決方法は把握できており,今後は装置の改良を行い,妥当性の確認と精度の評価を進める.
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Research Products
(7 results)