2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reverse Trans-Omics Analysis for Comprehensive Bottom-up Understanding Toward Conquering Cancer Systems
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20H04282
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 雄一 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 主任研究員 (30731632)
宇野 光平 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (50873585)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生命情報学 / 計算生物学 / 統計科学 / 情報科学 / がん / プロテオミクス / コピュラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、液体クロマトグラフィー質量分析器(LC/MS/MS)を用いて測定されるタンパク質発現データに基づいて、共発現変動解析という枠組みを用いることで、タンパク質複合体においてがん特異的な異常を予測するための統計的アルゴリズムRobust Differential Co-Expression analysis (RoDiCE)を開発した。具体的にはコピュラ(Copula)と呼ばれる確率モデルを応用したアルゴリズムを開発した。タンパク質複合体を構成する複数タンパク質の発現量を、コピュラを用いてタンパク質間における共発現構造(コピュラ関数)と、各タンパク質の発現量(周辺分布関数)を表す構造に分解し、ノイズの影響が顕著に現れる各タンパク質発現のふるまいを共発現構造から切り離すことで、ノイズや欠損値に対してロバストな共発現構造の比較が可能とした。
RoDiCEの特徴は測定に由来するノイズや修飾語翻訳等による外れ値などノイズに頑健であることである。また従来の方法では、あるタンパク質と他方のタンパク質の共発現構造を群間で比べるというペアワイズな方法が主であったが、本手法では、複数のタンパク質間の共発現構造を同時に比較することが可能であり、また線形的な共発現構造のみならず、非線形な共発現構造を捉えられるため複雑な構造変化も検出することができる。また、計算コストの問題を解決するために、統計的p値の近似方法と統計量計算時の並列化手法を開発した。その結果、超高速アルゴリズムを設計することで計算時間を最大5000倍向上させることができた。従来のアルゴリズムではゲノムワイドな解析への応用が極めて困難であった大規模データに対しても適用可能となった。
また実際の腎癌患者110名のデータへ適用した。主要な薬剤標的遺伝子を含む200以上の複合体が検出することができた。今後、様々ながん種における複合体異常のメカニズムの解明や薬剤標的のスクリーニングにも役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルゴリズム開発は計画通りにおおむね進行し、成果を得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
腎癌にとどまらず様々な癌腫に対して本手法を応用することで、タンパク質複合体の脱制御メカニズムの一端の解明に取り組む。次年度は、タンパク質質複合体の脱制御における転写物とタンパク質の間の関係性についても明らかにするモデリング手法の開発を進める。
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Research Products
(12 results)