2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Study of Global Migration, Flora and Fauna Exchange of Modern Japanese Period
Project/Area Number |
20H04413
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
根川 幸男 国際日本文化研究センター, 研究部, プロジェクト研究員 (40771506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 佑輔 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (30632591)
稲賀 繁美 京都精華大学, 国際文化学部, 教授 (40203195)
鵜戸 聡 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (70713981)
橋本 順光 大阪大学, 文学研究科, 教授 (80334613)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 近代日本人 / グローバル移動 / 動植物交換 / 航路体験 / 文明史的意味 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、折からのコロナ禍による行動制限で、国内外の調査研究活動がいちじるしく制限された。そのため、図書購入による文献収集やデジタル媒体による史資料の収集と統合的活用、海外の研究協力者を通じた現地調査やオンラインでのインタビューを試行した。また、調査成果についても、主にオンライン形式での研究会によって知見を共有した。 それらの研究を通じ、日本国内やブラジル、大阪商船「南米・世界一周航路」の旧英仏領寄港地等に係る多言語資料を収集・再統合し活用することが可能となった。すなわち、大阪市中央図書館所蔵「大大阪市市勢大観」(1935)のデジタル撮影による国際港湾都市・大阪の鳥瞰的把握、移民送出側史料としての海外興業株式会社「伯国行移民乗船名簿」と移民受入側史料としての「移民乗船名簿」(Listas de Bordo)のクロスチェックによる日本人移民の航路体験の具体的把握、アマゾナス連邦大学図書館所蔵の関係資料を通じた、大阪商船「南米・世界一周航路」とアマゾン河川航路との接続の確認、などである。 こうした試行の結果、南米移民船航海という日本人集団の史上最長の移動における人びとの接触や生活様式・世界観の変化、新旧大陸間の動植物交換の実態と世界市場へのインパクトの見取り図を、海洋や河川を移動する主体からのグローバルな移民史として構築するという、本研究の目的の達成に向け、プロジェクトを発進することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による行動制限のため、予定していた内外の現地調査を、図書購入による文献収集、デジタル媒体を中心とした国内調査、海外の研究協力者を通じた現地調査やオンラインでのインタビューに切り替えた。それらの調査を通じ、日本国内やブラジル、大阪商船「南米・世界一周航路」の旧英仏領寄港地等に係る多言語資料を収集・再統合し活用することが可能となった。一例をあげると、文献およびデジタル化された先行研究の収集と統合的活用、大阪市中央図書館所蔵「大大阪市市勢大観」(1935)のデジタル撮影による国際港湾都市・大阪の鳥瞰的把握、移民送出側史料としての海外興業株式会社「伯国行移民乗船名簿」(国立国会図書館デジタルコレクション)の記載情報・特記事項のデータ入力と移民受入側史料としての「移民乗船名簿」(サンパウロ州立移民博物館所蔵Listas de Bordo)のクロスチェックの開始、などである。 それらの調査の経過は、6月、8月、12月のオンライン研究会、2021年3月の年度末報告会において逐次報告し、国内外の研究分担者・協力者の間で知見を共有している。特に、8月の研究会のみは、対面・オンライン併用で行い、旧大阪商船・事務長を務めた武馬猛氏を講師にミニ講演会を実施し、移民船の実際の航路体験についておうかがいする機会を得、貴重な情報を共有することができた。 さらに、本研究の意義や成果の一部については、『海事史研究』、『移民研究年報』の根川論文、Journal of Aesthetics and Phenomenologyの稲賀論文(本報告書「雑誌論文」参照)により、内外に向けての発信を開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
①根川・鵜戸は、日本国内およびブラジル、ベトナム、橋本は英国、スリランカ、酒井はブラジル・アマゾン地域、稲賀はアフリカなど、日本国内および「南米・世界一周航路」の目的地や寄港地についての調査を実施する。 ②ブラジルやベトナムなど海外の研究協力者を通じた現地調査やオンラインでのインタビューを進める。これらの調査を通じて、デジタル媒体では入手できなかった資料の収集を進めていく。 ③根川を中心として、海外興業株式会社の「伯国行移民乗船名簿」記載情報・特記事項のデータ入力を進め、「移民乗船名簿」(Listas de Bordo)との照合によって内容分析を行う。 ④2021年度中にスタートアップ・シンポジウムを開催するとともに、対面・オンライン併用の研究会を通じ、情報を共有し、本研究の意義や成果を内外に向けて発信する。
|
Research Products
(8 results)