2020 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメートルの分解能で元素分布を調べるナノ元素顕微鏡の開発
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20H04450
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松山 成男 東北大学, 工学研究科, 教授 (70219525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 洋平 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50359535)
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (60589117)
神谷 富裕 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70370385)
藤代 史 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (90546269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノビーム / 元素分析 / ナノ元素顕微鏡 / 自動集束 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノビームを得るために必要な、非点収差と寄生収差を極限まで低減することが必要である。これらを1時間以内にゼロにすることをめざし、自動焦点システムの開発を行った。非点収差をゼロにするためには、コントラスト法に基づくシステムを構築した。本システムはビーム径を測定し、理論値と測定値の差から、レンズの変化量を計算し補正する。ビーム径顔起きれば変化量を大きくすることにより、短時間での集束が可能となった。典型的な条件では、1ミクロンを達成するには、今まで、半日程度時間を要していたのが、20分程度ですむようになった。さらにビームを集束させるためには、レンズの幾何学的な配置、特に回転に起因する寄生収差も低減する必要があるが、これについても、位相差法に基づくシステム構築を開発した。ビームがQレンズに入射する位置をスリットで調整し、それぞれの画像を比較することにより、焦点位置のずれ、回転のずれを調整できるようになった。これまで、感覚で調整してたのが、定量的に行えるようになるとともに、短時間での調整が可能となった。本システムについては、国際雑誌に投稿し受理されている。 蛍光分析のために、イオンビームで発光するナノ粒子の開発を行い、イオンビームでのダメージの少ないナノ粒子を開発することができた。蛍光の検出のために、SiPMを用いた分析システムを構築し、蛍光粒子からの蛍光を測定することができた。さらに、分光器とSiPMのアレイを組み合わせ、単なる蛍光だけでなく、波長ごとの蛍光を検出することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、先ずナノビーム形成システムの開発とPIXE/RBS/RFS分析に蛍光分析システムを加えたマルチモーダル分析システムの高度化を行い、ナノプローブシステムを構築する その第一歩となる、ナノビームの形成に必要な、自動集束システムの原型の開発が終了した。マルチモード元素分析システムの開発では、ナノ粒子の製法の開発を行い、ナノ粒子を得られるようになったのに加え、蛍光を分光して測定できるシステムの基本形が完成した。このように、要素となる基礎技術の開発が終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎開発が終わった自動集束システムは、集束まで自動で行えるが、それに続く分析をまだ行うことができないので、システムを拡張し、マルチモーダル分析が可能となるようにする。これと併せて、ナノビーム形成を試みる。 基礎開発が終わった、蛍光分析システムもシステム化を進め、蛍光の分光画像の取得を試みる。さらに、現有のPIXE分析法(Naから重金属の分析)、RBS分析法(水素以外の軽元素分析)、RFS分析法(水素の分析)に改良を加え、重金属の検出感度を10倍程度向上させた高感度なマルチモーダルな分析システムを開発する。
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Research Products
(8 results)