2021 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメートルの分解能で元素分布を調べるナノ元素顕微鏡の開発
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20H04450
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松山 成男 東北大学, 工学研究科, 教授 (70219525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 洋平 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50359535)
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (60589117)
神谷 富裕 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70370385)
藤代 史 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (90546269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノビーム / 元素分析 / ナノ元素顕微鏡 / 自動集束 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ナノビーム形成システムの開発とPIXE/RBS/RFS/ERDA分析に蛍光分析システムを加えたマルチモーダル分析システムの高度化を図ることに向けて、焦点深度可変システムの基礎開発、水素分析、蛍光分析システムの開発を行った。 焦点深度可変システムは、凹凸のある試料や水素分析時に試料を傾ける必要のあることから、ナノビームを形成したとしても場所によって焦点深度がずれてしまうため、それの補正を行う必要がある。焦点位置の変化によるビーム径の変化は100umの焦点深度のずれに対して1um程度であるが、ナノビームでの実験では大きな問題となる。そこで、焦点位置の変化に対して磁場を追従させる方式を採用することにした。焦点位置を変化させ、磁場を計算により推定し補正したところ、ヒステリシスのために磁石にながす電流値の補正では、補正ができないものの、ホールプローブでの磁場測定値に対しては補正が可能であることが分かった。水素分析システムにおいては、試料と検出器位置の配置、特に角度の設定がシビアであることが分かったので、バルクビームを用いて実験的に最適な配置を求めた。マイクロビームでの実験も実施したが加速器の不調により、ビーム強度が少なく、水素を観測できなかった。蛍光分析のために、波長ごとの蛍光を検出のために、分光器とSiPMのアレイの組み合わせにより、波長ごとの蛍光を分析することができていたが、蛍光とほかの分析法を組み合わせるために、SiPM後段回路の開発を行い、 同時分析システムの基礎が構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 本研究では、先ずナノビーム形成システムの開発とPIXE/RBS/RFS分析に蛍光分析システムを加えたマルチモーダル分析システムの高度化を行い、ナノプローブシ ステムを構築する。それらの基礎要素が、順調に開発されているため、これを組み合わせることにより、目的が達成出来ると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
自動集束システムでは、集束まで半自動で行うことができ、それに続く分析も可能となった。焦点深度可変システムは、基礎的な要素は開発できたので、今後システムに組み込んでいく。蛍光分析も、多波長同時分析システムの基礎が完成し、マルチモーダル分析が可能となるようにする。これと併せて、ナノビーム形成を試みる。蛍光分析システムもシステム化を進め、蛍光の分光画像の取得を試みる。さらに、現有のPIXE分析法(Naから重金属の分析)、RBS分析法 (水素以外の軽元素分析)、RFS/ERDA分析法(水素の分析)に改良を加え、重金属の検出感度を10倍程度向上させた高感度なマルチモーダルな分析システムを開発す る。ERDA分析については、基礎開発が終了したので、水素のマッピングを目指す。
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