2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research of design-related projects and their social problem solving the Japanese public sector
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20H04471
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
鷲田 祐一 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80521286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 一史 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (30740724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デザイン / 地方自治体 / 公共セクタ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの実績を踏まえて設計した全国1800余りの地方自治体・公共機関におけるデザイナー雇用実態を調べるための量的調査を実施した。有効回答がなかなか得にくい郵送調査手法を取らざるを得なかったにもかかわらず、50%以上という非常に高い有効回答率を実現し、調査は成功裏におわった。その結果の分析を開始したところ、当初の仮説をこえて地方自治体でのデザイナー雇用が進んでいない実態が明らかになってきた。ただし雇用をしていない自治体であっても雇用を検討したり興味をもっている自治体は相当数あることも同時に判明し、研究としての有意性が再検証された。同時に、デザイナー雇用を全く検討していない自治体が、なぜ検討もしていないのかの理由もほぼ明確に把握できた。今後はこの量的調査の結果をもとに、どのような組織に対してどのようにデザイナー派遣を実施すれば有意な効果が表れる可能性があるのかについて次の仮説の構築に進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り大規模な量的調査を実施できた。この種の公共機関向けの調査の場合、郵送調査手法を使う必要があるが、郵送調査は有効回答を多く獲得することが難しいという問題がある。今回も実施前の段階では、有効回答率はおおむね10%程度であろうと想定していた。しかし回答しやすい調査票の工夫と、調査参加への積極的な勧奨の努力の甲斐あり、54.3%という望外に高い有効回答率を獲得することができた。回答数も1000サンプルを超えて、統計的な分析をする上でも非常に有意な結果をえることができた。ただし、調査結果の分析を始めたところ、当初の仮説よりもさらに地方自治体でのデザイナー雇用の実態は進んでいないことが判明し、今後のデザイナー派遣による業務改善というステップ実現にむけて、想定よりも難易度が高いことが想定される。
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Strategy for Future Research Activity |
量的調査の結果をもとに、デザイン学領域、マーケティング領域、公共政策領域、あるいはイノベーション領域での学会等への研究発表を実施する予定である。またデザイン経営に関する書籍を発刊したが、それに合わせて各種のカンファレンスや講演会等での本研究の結果の公表も開始する。さらに、日本以外の国での公共セクタでのデザイナーの活用状況についての取材を実施し、当初仮説の総合的な理解へと進む予定である。そしてそれらを総合して、計画の最終年度へむけて、実際の地方自治体や公的組織へデザイナー(あるいはデザイン学の学生)を派遣し、業務の改善に貢献する可能性を検証するステップに進む計画である。
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