2021 Fiscal Year Annual Research Report
日本近代人文学の再構築と漢学の伝統―西村天囚関係新資料の調査研究を中心として―
Project/Area Number |
21H00465
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹田 健二 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10197303)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 邦弘 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (30182661)
陶 徳民 関西大学, 東西学術研究所, 客員研究員 (40288791)
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 教授 (40301733)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 西村天囚 / 近代日本漢学 / 懐徳堂 / 文化交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
近代日本漢学において特異な位置を占める漢学者・西村時彦を中心に、(1)その学問の全容を解明すること、(2)西村の漢学が儒教思想史に占める思想史的位置を解明することを主な目的とする本研究の初年度にあたる本年度は、研究実施計画に記した分担に従い、研究代表者・研究分担者それぞれが分担する(ア)懐徳堂顕彰運動との関係、(イ)東京の「漢学」との関係、(ウ)京都の「支那学」との関係、(エ)中国との文化交渉との関係、(オ)世界一周に見る西洋との文化交渉との関係の五つの観点からの検討を行い、成果を得たものから、後述する通り、随時学術論文、著書、学会等での口頭発表としてそれぞれが公表した。 また、種子島の西村家に現存する西村天囚の遺稿類について、昭和58年(1983)に西村家から鹿児島県立歴史資料センター黎明館(現・鹿児島県立歴史・美術センター黎明館)、及び種子島開発総合センターに寄贈されていたことが判明した資料について調査を進めて、その目録を作成した。加えて、西村家所蔵資料の天囚の遺稿の中でも、重要性が高いと思われる資料については修復を行った。 なお、当初実施する予定だった天囚関係の資料調査、及び年に3回、対面での研究会合を開催する予定だった研究会合について、新型コロナウィルス感染症の影響により、やむなく資料調査等の一部を次年度に実施するなどの変更を行った。また年度内には研究代表者・分担者全員が対面で集まることは断念した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行に伴って、研究代表者・研究分担者の居住する各地域や所属機関等が対策として各種の制約を設けたことから、本研究の基軸となる活動として計画していたところの対面による研究会合の開催は、結局2021年12月12日の1回の開催にとどまった。また研究遂行上必要な資料調査等の出張についても、調査対象となる資料を所蔵する機関が調査の受入を認めない事態も生じ、予定していた通りには実施することができず、やむなく中止や延期を強いられた。これに伴い、予算の執行についても一部を次年度に繰り越さざるを得なくなった。 しかしながら、研究情報の共有等を効果的に行う連携は、オンラインの活用などで概ね問題無く取ることができ、その結果として、本研究の成果となる学術論文や学会発表も概ね当初の計画通りに行うことができた。また、研究を遂行する上で重要と考えていた資料の修復も、何とか実施することができた。 このため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の遂行にあたっては、今後も研究代表者・研究分担者それぞれが、研究実施計画に記した研究の目的、及び分担に応じて取り組む。本研究の遂行の障害となる、新型コロナウィルス感染症の流行に伴う様々な制約について、今後どのようになるのかが不明であるため、本研究の今後の推進にあたってもなお若干の不安を感じる部分はあるが、上述したように、2021年度の活動によっておおむね順調に成果を得ることのできたことから、基本的には2021年度の方策を踏襲して研究を継続する方針を維持する。 特に、本研究の基軸と考えていた対面による研究会合の開催については、可能な限り対面で、対面ではできなければオンラインで複数回実施し、その研究会合での討議を踏まえた上で、それぞれが著書や学術論文として公表するようにしたい。
|
Research Products
(19 results)