2021 Fiscal Year Annual Research Report
An Interdisciplinary Study on the Transmission of Jātaka and Avadāna texts in Tocharian Buddhism
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21H00474
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
幅田 裕美 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (60290996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 智美 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (60781755)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Bahubuddha-Avadana / Unmayadanti-Jataka / Visvantara-Jataka / トカラ語 / ジャータカ / アヴァダーナ / クチャ美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究代表者の幅田裕美がミュンヘン大学言語学Olav Hackstein教授と共同で、トカラ語のジャータカ・アヴァダーナ文献から、Bahubuddha-AvadanaおよびUnmadayanti-Jatakaのテキスト研究をまとめた。Bahubuddha-Avadanaは説一切有部の注釈書で引用が知られているがテキストが失われていた仏陀の過去世物語で、仏陀が過去世において女性として生まれていたという説話がトカラ語で伝承されていたことを明らかにした。Unmadayanti-JatakaについてはAryasuraのJatakamalaの正確な逐語訳であることを分析した。Puniyavanta-Jatakaについては原作者問題に新たな光をあて、伝説的な仏教詩人であり経量部の祖とされるKumaralataが著者である可能性を指摘した。 研究分担者の檜山智美はクチャの説一切有部系の石窟寺院に描かれたアヴァダーナ壁画の主題と関連文献について分析し、著書 Traces of the Sarvastivadins in the Buddhist Monasteries of Kucha の第4章としてまとめた。その結果、クチャの説一切有部系の説話美術は早期と後期で伝承の系統が異なること、また早期の石窟群の壁画は Buddhacarita, Kalpanaamanditikaa, Aryasura版Jatakamalaなどといった梵語仏教説話文学との関連が深いという観察が得られた。 Visvantara-Jatakaは新たな断片を発見比定した荻原裕敏博士が研究協力者としてプロジェクトに参加し、テキストの読みと解釈をまとめた。研究成果は最終的な成果刊行物に収録する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染状況によりドイツへの出張は取りやめとなったが、オンラインを利用して定期的に研究ミーティングをすることができた。Punyavanta-Jatakaについてはテキストの分量が長いため、次年度へ続けて研究成果論文を作成することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もオンラインを利用して定期的に研究ミーティングをし、コロナ感染状況が許せばドイツへ出張して議論を深める予定である。日本国内においても、オンラインの他にも定期的に会合を開きたい。
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