2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦後思想群像の再構築―近代日本の学知におけるアジア認識の変遷を手掛かりに―
Project/Area Number |
21H00479
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20312720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣木 尚 大正大学, 文学部, 専任講師 (00756356)
田澤 晴子 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (40737160)
黒川 みどり 静岡大学, 教育学部, 教授 (60283321)
山田 智 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90625211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アジア認識 / 中国認識 / 戦後思想 / アジア主義 / 国民的歴史学運動 / 石母田正 / 民族 / 竹内好 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、歴史学の領域から、戦後思想の在り方に大きな影響を与えた石母田正の重要な研究について、前年度に引き続き毎月1回の研究会活動ならびに2回の宿泊形式の研究会活動を通して、詳細な読解と分析を行った。特に、歴史研究者としての石母田の集大成的研究として位置づけられる『日本の古代国家』の精読・分析に注力した。 そうした検討・分析を経て、本研究課題の成果を論文集にとりまとめて、学界・社会に発信する準備に本格的に着手した。研究代表者の小嶋は、「石母田正における「歴史科学」と「アジア」―国民的歴史学運動から『日本の古代国家』へ―」、研究分担者の黒川は「「日本の人民の解放」と「国家史研究」―啓蒙主義との格闘―」、田澤は「石母田正と竹内好―戦後歴史学と「アジア主義」―」、山田は「歴史学と文学作品―石母田における文学作品研究とアジア認識―」、廣木は「石母田正における史学史的思考と「史学史」の発見」、研究協力者の姜海守は「戦後における石母田正の朝鮮認識―戦後の石母田正の史論と東アジアにおける「冷戦」秩序―」を論題に定めたところである。研究代表者・研究分担者・研究協力者は、それぞれの論題でどのような論文を執筆するかの構想を研究会で披歴し、相互に批判・検討する機会をもち、研究代表者・研究分担者・研究協力者はそこでの議論を個々の研究に反映させて論文を執筆するよう準備を進めているところである。2023年度内には、それぞれの研究の進捗状況の報告・検討・相互批評を終えたところであり、2024年度中に、その研究成果を集約できるような準備を整えたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に着手以降3年が経過した。この間コロナ禍の期間中であったこともあり、対面での研究会活動が実施できない時期もあったが、オンラインでの研究会活動を継続することで成果を蓄積することが出来た。すでに戦後思想史に位置づけるための石母田の主要な作品についての共同した精読はほぼ終わっており、この点でも研究は順調に進捗していると評価することができる。すでに、研究代表者・研究分担者ともに、論題を定めて、論集に集約する論考の執筆にとりかかっており、2024年度中には論集作成のための論文が完成し、遅くとも2025年度中には、公刊できる見通しとなっているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本研究の主要な研究成果のとりまとめに向けて、研究代表者・研究分担者・研究協力者は、それぞれ論文の執筆に注力することとなる。2024年度中には論文作成に見通しがたち、遅くとも2025年度中には論文集の刊行が可能になるよう準備を進めていくこととする。なお、当初の研究計画では、日本の敗戦や戦後の中華人民共和国の成立の影響を受けて新たなアジア認識・中国認識を獲得するような石母田のような研究者群とは別に、戦前以来の中国認識を維持して研究活動を継続した研究者群の分析を行うこととしていたが、石母田を対象とする研究成果を踏まえて、そうした検討に着手するかどうか、改めて検討することとしたい。当初に予定した研究方法を採るにせよ、何らかの変更を行うにせよ、近代以降戦後にかけての学知におけるアジア認識のあり方を分析の対象とすることは当初の計画の通りである。
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Research Products
(12 results)