2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Reception and Criticism of Modern Japanese-style Painting in Britain: The Definition of NIHON-GA
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21H00486
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 みちこ 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40805181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下原 美保 関西学院大学, 文学部, 教授 (20284862)
小野 文子 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10377616)
加藤 弘子 都留文科大学, 文学部, 非常勤講師 (70600063)
山本 浩之 筑波大学, 芸術系, 准教授 (20401466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近代日本画 / 大英博物館 / エドワード朝 / 住吉派 / 狩野派 / 日本美術院 / 日本画の技法 / 東京美術学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
採択初年度はコロナ禍により海外出張ができず、各自が可能な限り国内での調査を行うととともに文献資料を収集するに留まった。そのような状況下でも2021年12月19日には全メンバーが筑波大学に集合し研究集会を開催、研究課題について情報共有することができた。当該年度の各自の研究実績は以下の通りである。 研究代表者の林みちこはイギリスに留学した洋画家による日本画制作について調査を進め、特に石橋和訓が在英期に制作した日本画作品を分析した。また日本美術院を創設した岡倉覚三の1910年頃の著述を精査し、絵画におけるモダニズム批評への接続を考察した。研究分担者の下原美保は大英博物館所蔵のやまと絵コレクションに見られる住吉派の絵師に関する調査を進め、中でも住吉派出身の日本画家山名貫義などの画稿や作品の所在を確認するなどの調査結果を得た。研究分担者の小野文子はこれまでヴィクトリア朝期を調査対象としてきたが、その前後に時代範囲を広げ、19世紀初頭から日英博覧会が開催されエドワード朝が終わりを迎える20世紀初頭にかけての日本美術・工芸品に関わる記事を収集した。その中で、主に英国の定期刊行物に発表された文献約150点を資料コレクションとしてまとめ、解説文を日英バイリンガルで執筆した。研究分担者の加藤弘子は諸派の受容と現代日本画の展開に関する資料を収集した。狩野派を中心に、大英博物館の日本絵画コレクションの中核をなすウィリアム・アンダーソンとアーサー・モリソン、キュレーターのローレンス・ビニヨンの流派観を確認した。また、東京美術学校の歴史と日本画・洋画の技法面から、日本画の展開について論点を整理した。研究分担者の山本浩之は制作者の立場から古い和紙標本、昭和初期頃の技法書等の資料収集を進め、実際の日本画制作における制作過程、描法、画材の研究および日本美術院所属作家からの制作過程や技法の聞き取りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題はイギリスにおける日本美術コレクションを調査研究することを目的としており、美術史研究においては作品の実見、作品に付随する史資料の実見を必須とすることから現地調査が必要であったが、2020年度からの世界的な新型コロナウィルス感染症の蔓延と各国の入国規制、渡航制限により2021年度のイギリス渡航を延期せざるを得なかった。加えて国内移動についても各研究分担者の所属機関による移動制限などがあり、国内の美術館あるいは所蔵家を訪問しての実見調査も実施できない状態となった。そのような中でも各研究分担者は創意工夫を重ね、既に保持していた基礎資料の読み込みをすすめるとともに、出張費を資料購入に振り替えて文献調査を行い今後の美術作品の実見に備えた。特に近年めざましく技術が進歩しているデジタル・アーカイヴ、オンラインで閲覧できるデータベースは本研究課題にとっても有益であり、大英博物館の充実した収蔵品データベースで作品の高精細画像を閲覧し、基礎的な作品データを収集することに努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の計画としては①現地(イギリス)出張が可能な場合は渡航して作品資料調査。②前年度に収集した文献資料の分析。③前年度に収集した作品データの整理。④前年度の調査結果を持ち寄った中間報告会を行う。(研究集会ではオンライン会議も活用) 研究内容:①「展示」:1900年以降イギリスで開催された同時代の日本人画家の展覧会につき小野文子が既に作成しているリストをアップデート、オークションハウスを調査し、受容の実態を解明。②「収蔵」:大英博物館に所蔵されている日本絵画約4,000点から江戸後期以降の絵画を抽出し、取得の経緯を解明。③「画業」:在英日本人画家の描いた日本画作品を調査し、特に洋画家が日本画を生業として制作していたことを証明。仲介した画商・画廊から流通経路も解明。④「言説」:雑誌記事(『日英新誌』, Art Journal, Magazine of Art, The Studioなど)、図録等から展覧会評を収集し1900年以降のJapanese Painting, Japanese-style Paintingの語の用法を分析。⑤「技法」:在英コレクションにおける近代日本画の技法・素材の分析を行い、水彩画との混合技法など、現地で入手可能であった異素材の使用実態を解明。 初年度の研究実施を経て追加された研究内容:①近代の模写・模本に関する問題、②近代日本における画壇を組織論の視点から分析すること、③日本画の伝統的技法と素材の調達(岩絵の具、膠、和紙の製造と流通の問題)および風土や気候に影響される材料の取り扱いについて。
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Research Products
(6 results)