2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Reception and Criticism of Modern Japanese-style Painting in Britain: The Definition of NIHON-GA
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21H00486
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 みちこ 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40805181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 文子 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10377616)
下原 美保 関西学院大学, 文学部, 教授 (20284862)
山本 浩之 筑波大学, 芸術系, 准教授 (20401466)
加藤 弘子 都留文科大学, 文学部, 非常勤講師 (70600063)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近代日本画 / 現代日本画 / 日本画技法 / 在外日本美術コレクション / ジャポニスム / 日英美術交流 / 日本美術院 / 住吉派 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度もコロナ禍により予定していた海外調査ができず、各自が可能な限り国内での調査を行うとともにデジタルアーカイヴを利用して在外美術コレクションの情報を収集した。そのような状況下でも2022年9月3日に関西学院大学で研究集会を開催、研究課題について情報共有することができた。当該年度の各自の研究実績は以下の通りである。 研究代表者の林みちこは、引き続き近代日本画と現代日本画の海外戦略と評価について海外展覧会に関する情報を収集するとともに、いわゆる「日本画滅亡論」が議論された1960-70年代の国内における美術批評を収集し再検証した。研究集会では洋画家石橋和訓が日本画について言及した雑誌記事に関する調査結果を報告した。研究分担者の下原美保は、近世やまと絵を近代日本画へと継承し、当時、やまと絵の大家として注目されながらも研究される機会の少なかった山名貫義についての基礎的研究を行った。その結果、東京美術学校で教鞭をとり有職故実に通じていた貫義が教育者として評価されていたことを研究集会で報告した。作品調査では「東京国立博物館の模写・模造」展において貫義が手がけた模写数点を確認した。研究分担者の小野文子は、展覧会での作品熟覧、学会や研究会への参加を通して、広く「日本」がアジアの中でどのように位置付けられていたのか、また、「発信する側」として日本がどのようなものを「日本的」と捉えたのかについて調査し、考察を行った。研究分担者の加藤弘子は、アーサー・モリソンコレクションの石橋和訓筆「写生図」とモリソン宛書状との関係を精査した結果と〈日本美術史〉の脱中心化が必要とされる現状における〈日本画〉研究のあり方について研究集会で報告した。研究分担者の山本浩之は絵具見本帖および絵具試料の収集を行うとともに速水御舟、小茂田青樹、神坂雪佳などの作品の閲覧を通し、制作過程、描法、画材の研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題はイギリスにおける日本美術コレクションを調査研究することを目的としており、美術史研究においては作品の実見、作品に付随する史資料の実見を必須とすることから現地調査が必要であったが、世界的な新型コロナウィルス感染症が終息せず、イギリス渡航を延期せざるを得なかった。そのような中でも各研究分担者は創意工夫を重ね、国内調査において関連する美術作品を実見するなどして海外調査に備えた。特に近年めざましく技術が進歩しているデジタル・アーカイヴ、オンラインで閲覧できるデータベースは本研究課題にとっても有益であり、収蔵品データベースで作品の高精細画像を閲覧し、実見調査の前に基礎的な作品データを収集することに努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度もコロナ禍での海外渡航のリスクや行動制限は軽減せず、本研究課題2年目も初年度と同じくイギリスへ渡航しての現地調査ができなかった。2023年5月に日本において新型コロナウィルスが感染法上の5類に指定されて以降は各種の行動制限が解除されるため、海外出張を以前のとおりに行うことが期待される。よって2023年度は延期していたイギリスでの実地調査を各自のスケジュールに応じて実施し、研究成果を得ることを目標とする。 具体的な実施の方策は次のとおりである。①前年度までの調査で見出した課題について再設定するための研究集会を行う、②イギリス側研究者に参加していただきオンライン研究会を行う。その際には現地調査についてのアドバイスを得る。③コロナ禍で延期していたイギリス渡航での現地調査の実施(作品・文献)、④現地での調査結果を共有するため研究集会を行う、⑤成果について各自、学会発表や論文投稿を行う。 以上の計画において検討する研究内容は次のとおりである。①イギリスにおける日本画コレクションの再検討。②イギリスにおける「日本画」の定義に関する「作品」と「言説」を比較検討。③イギリスにおける日本画材の使用について、輸出入や流通の実態を調査。
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Research Products
(5 results)