2021 Fiscal Year Annual Research Report
「現代の起点」としてのフランス象徴主義の総合的研究
Project/Area Number |
21H00515
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 淳生 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90283671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 裕大 近畿大学, 国際学部, 准教授 (10734072)
松浦 菜美子 関西学院大学, 文学部, 准教授 (10880247)
熊谷 謙介 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (20583438)
合田 陽祐 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (20726814)
山田 広昭 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40210471)
中野 知律 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任教授 (50237343)
村上 祐二 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50636511)
久保 昭博 関西学院大学, 文学部, 教授 (60432324)
橋本 知子 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (60625466)
岡本 夢子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特別研究員 (60899607)
中畑 寛之 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (70362754)
坂巻 康司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70534436)
中筋 朋 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (70749986)
足立 和彦 名城大学, 法学部, 准教授 (80707456)
鳥山 定嗣 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80783117)
大出 敦 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (90365461)
野田 農 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20907092)
小倉 康寛 南山大学, 外国語学部, 講師 (90908451)
藤野 志織 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (40908844)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 象徴主義 / 自由詩 / ギル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる本年度は、研究計画に基づく各メンバーの担当を踏まえた研究報告を行い(計11名)、象徴主義に関する各人の知見──韻律、理論、録音、雑誌、文学キャバレー、アナーキズム、宗教、話法、演劇など──の共有に努めるとともに、今後の研究方向についても議論を重ねた。象徴主義は一般に自然主義に対する反動として物質ではなく「イデー」を称揚したものと捉えられているが、当時の技術的な進展にともなって発展した科学知識や、雑誌媒体や文学キャバレーなどによる意識的なメディア戦略、アナーキズムへの関心など、「理想を求める孤高な詩人」像を揺るがす側面が数多く存在している。また、象徴主義は「音楽」を理想とする「詩」の運動と考えられがちであるが、そもそもその詩的傾向には多様性があるばかりでなく、理論的省察や小説・演劇・美術などにも広がっていくものでもある。研究報告を通して、このような象徴主義の多様な側面とそれらの間の関係性が明らかになってきた。 平行して、ルネ・ギルの『至善の生成(Le Meilleur devenir)』訳読会を行い、日本語訳と訳註の作成を進めた(計4回開催)。ギルの作品は象徴主義の一面を示す重要なものであるが、きわめて難解であり、この詩人のマイナー性もあって、フランスにおいてすらこれまで十分に読解されてこなかった。翻訳は英訳も含めて存在しないので、本研究の日本語訳は世界初訳となる。本作の理解を共有することで、今後議論を進めるうえでの班員共通のプラットフォームが構築される効果も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ギルの訳読はテクストの難解さのため難航したが、次年度にスピードアップするための準備は整った。研究報告は順調に進み、毎回活発な議論が行われる有意義な研究会となっており、実施状況は良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も基本的に同様の枠組みで研究班を開催する。研究報告をまだ行っていない残りの班員による発表、および、ルネ・ギル『至善の生成』訳読会である。ゲストスピーカーによる研究会も実施する。研究報告はこの第二年目で概ね全ての班員を一巡し、ギル訳読会も本文をほぼ読み終える予定である(成果については再来年度に紀要等に発表する)。あわせて、象徴主義に関する「読む事典」の項目執筆について、次年度中にいくつか見本となる項目を具体的に執筆し、完成への道筋をつけたい。また、6月11日には人文研アカデミーの枠組みを使って、外部ゲストを講演者、班員をコメンテーターとするシンポジウム「ヴィリエ・ド・リラダンとフランス象徴主義──『残酷物語』と『未来のイヴ』が現代に語りかけてくるもの」を開催し、本研究班の知見の一部を一般に向けて発信する。
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Research Products
(17 results)