2022 Fiscal Year Annual Research Report
近世中国の墓葬実地調査及び新出史料による家族とジェンダーの新研究
Project/Area Number |
21H00558
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐々木 愛 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (00362905)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 裕司 常葉大学, 外国語学部, 教授 (10242794)
小川 快之 国士舘大学, 文学部, 教授 (10400798)
大澤 正昭 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30113187)
石川 重雄 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50636678)
兼田 信一郎 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (70896993)
小島 浩之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 中国 / 近世 / 墓 / 家族 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
① 過去11回に亘って中国現地で実施してきた墓や関係史跡などの現地調査の記録考察を総括し、『記憶された人と歴史:中国福建・江西・浙江の古墓・史跡調査記』と題して出版公刊した。コロナ禍で現地調査が行えないことを逆にチャンスと捉え、これまでの調査を検討しなおして集大成した研究成果である。本書は、これまで鉄壁の先行研究であった滋賀秀三『中国家族法の原理』が前提としていた墓葬方式は、中国南方ではそぐわないことを明らかにしている。中国南方では夫婦別葬の慣行が広く見られ、夫婦を同葬しなければならないという観念自体が存在していないこと、淮河流域以北では集合家族墓の形式が多くみられること、また滋賀『家族法の原理』で述べられていた「未婚のむすめは実家に葬ってはならないという観念は清代末期以後に広がった観念ではないかという示唆も行った。本成果は、従来の定説:滋賀秀三『中国家族法の原理』を克服し、滋賀原理は滋賀氏のいうように中国二千年あまり不変の原理だったのではなく、歴史的・地域的に変化し形成されていったものと考える上で重要な根拠の収集に成功した研究成果であり、本書は本科研メンバー全員が共著者として成った書である。 ②特に研究代表者の佐々木は家族史ジェンダー史に関して上記以外に共著2冊、国際学会3回の研究発表で研究成果を世に問うことができた。いずれも滋賀原理的な強い父系原理は宋代当時は未確立であり、それらは清代に至って成立したものであること、またなぜ父系制は強化されたのかを論じたものであり、滋賀原理の克服の試みである。 ③宋代・元代の古墓の発掘調査報告書の目録を作成し、Web上で公開できた ④名公書判清明集訳注作成事業に関しては、翌年度に繰越しを行い、令和5年度内に完成させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去11回に亘って中国現地で実施してきた墓や関係史跡などの現地調査の記録考察を総括し、『記憶された人と歴史:中国福建・江西・浙江の古墓・史跡調査記』と題して出版公刊することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本を含め世界はコロナ禍からは脱しつつあるが、中国との間はその後の政治的外交的な問題により、短期滞在者についてのビザ免除措置が復活していないなど、自由な研究調査がしにくい状況が続いている。とりあえずしばらくは台湾での調査に切り替えて、現地調査を行うこととするが、大陸での調査が再開できる方策を模索したい。 また、来年度は本科研の最終年度にあたるため、これまでの研究を総括しつつ、国際シンポジウムを開催するなど、我々の研究成果をより広く知っていただけるような機会を設け、大方の議論を喚起したいと考える。
|
Research Products
(14 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 京都大学学術出版会2022
Author(s)
小浜正子, 落合恵美子編、佐々木愛他著
Total Pages
379
Publisher
東アジアは「儒教社会」か? : アジア家族の変容
ISBN
9784814004553
-
-
-
-