2021 Fiscal Year Annual Research Report
近世国家における軍事ハウスホールドの比較研究―境域からみた世界史像の再構築
Project/Area Number |
21H00559
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
前田 弘毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良英 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20610546)
斉藤 恵太 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20759196)
伏見 岳志 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (70376581)
杉山 清彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80379213)
鈴木 開 明治大学, 文学部, 専任講師 (80739425)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 近世国家 / 軍事ハウスホールド / 境域 / 世界史 / エイジェンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界史上における近世国家の統治の一翼を担った境域出身軍事ハウスホールドを研究対象とし、彼らが国家中枢と境域社会をどのようにつないでいたのか、その歴史的役割をユーラシア規模で検討し、最新のエイジェンシー論を活用して明らかにすることを目的とする。具体的には地中海・大西洋境域、沿バルト海・環黒海境域、満洲・沿日本海境域の3つの広域境域を措定し、軍事ハウスホールドの①国家の代理人としての活動、②出身民族や地元社会との関係、③言説に発露する双方向の「アイデンティティ」を文献史料に基づいて検討する。研究1年目は、国家の代理人としての境域出身軍事ハウスホールドの活動の検討を行った。具体的には各境域軍事ハウスホールドの歴史や構成員など、その輪郭を、特に広域政体中枢との関係性に焦点をあてながら、具体的に明らかにした。各地域により、構成員やその経歴に大きな違いが見られることが確認出来た。一方、変革期である近世社会における戦争と人の移動の問題や帝国建設における役割などが共通の視角として浮かびあがった。特に移動については西欧とロシアのつながりなど、地域横断的な共同研究の成果を得ることが出来た。また、軍事ハウスホールドが奴隷を含む様々な階層・ジェンダーから成り立つなど、地域ごとにそれぞれ近現代とは大きく異なる姿が明らかになった。加えて、それぞれの個別研究の軌跡の紹介や、今後の共同研究の可能性について活発な議論を行ったが、それらは個々の業績にも反映されている。今後は地域内の共通性とともに地域を跨いだ共時的な共通現象について検討するとともに、時代の異なる専門家との対話にも努めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、3つの地域に分かれた6名の共同研究者がすべて報告を行い、これまでの研究について相互理解を深めることが出来た。あらためて共通する研究視角と時代性を確認し、その上で研究対象や手法、史料の多様性についても理解した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、3つの地域に分かれた6名の共同研究者がすべて報告を行うとともに、関連図書等の情報の共有と専門とする時代の異なる研究者との積極的な意見交換に努めて共同研究を進めていく。
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Research Products
(14 results)