2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of the study of modern Japanese history by editing and publishing "Kato Takaaki Papers"
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21H00567
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奈良岡 聰智 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (90378505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90301861)
西田 敏宏 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (90362566)
MURPHY Mahon 京都大学, 法学研究科, 准教授 (40852794)
森 靖夫 同志社大学, 法学部, 教授 (50512258)
久保田 裕次 国士舘大学, 文学部, 准教授 (70747477)
呉 舒平 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (00962010)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 加藤高明 / 第一次世界大戦 / 対華二十一ヵ条要求 / 二大政党政治 / 憲政会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、資料集刊行のため現存する加藤高明関係の一次史料をできるだけ多く収集し、それらを整理・目録化すると共に、電子データ化する作業を進めた。また、国立国会図書館など国内外の各機関が所蔵する一次史料の網羅に努め、未収集の史料を補充・追加した。以上の結果得られた成果を研究分担者・協力者・補助者の間でクラウド上で共有する仕組みを既に構築済みであるが、そのコンテンツの充実を図った。このうち近年三菱史料館で収集した加藤高明書簡の多くは、論文(奈良岡聰智「岩崎家深川別邸の西洋画購入について」)の中で翻刻・紹介した。
以上のように史料の整理・分析を進めると共に、関連新規史料の発掘、学会などでの報告、研究会の開催、史料を活用した実証研究も行なった。主な成果は以下の通りである。1)2022年6月19日に呉舒平氏(京都大学)、湯川勇人氏(広島大学)、周康偉氏(京都大学)、2023年1月22日に瀧井一博氏(国際日本文化研究センター)、奈良岡聰智(京都大学)が報告を行う研究会を京都大学で開催し、日本政治外交史の各分野における最新の研究報告に基づく議論を行った。2)2022年10月28日に開催された日本国際政治学会研究大会において、奈良岡が本研究全体の構想に関わる報告を行った。3)昨年度収集した外務大臣経験者2名の新規個人文書の整理・目録化を行い、論文として公表する準備を進めた。4)2022年12月9日に京都大学で国際シンポジウム“The 100th Anniversary of the 1920s Book Donation by Japan to the University of Louvain”をKULeuvenとの共催で開催した。5)明治期・第一次世界大戦期の日本外交、辛亥革命期からアジア・太平洋戦争期の日中関係などを中心に実証研究を進め、個別の研究論文を多数発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加藤高明関係の未収集史料の収集は昨年度おおむね終了したと考えていたが、その後新規に公開されたり、古書店などで販売されている史料が少なからず見つかったため、本年度はそれらの入手・分析に努めた。追加の史料収集は今後も進めるが、資料集の核となる一次史料の収集には目途がついたと考えている。また、研究分担者・協力者・補助者の間でそれらの史料をグーグルフォーム上で共有する仕組みを構築し、自由に研究に活用できる体制を既に整えており、本年度はそのコンテンツを充実させることができた。 収集した各種史料の目録化と電子データ化については、昨年度に引き続き書簡(出簡)、雑誌掲載論文を対象とし、研究補助者の助力を得つつ作業を行なった。作業にあたっては1点ずつ原文書や各種公刊資料との照合を行い、翻刻の正確を期した。作業が完了したのは、書簡の3-4割程度、雑誌掲載論文の4-5割程度であるが、膨大な分量を考えると、概ね順調に進んでいると評価できる。次年度も引続きこの作業を継続する予定である。 本年度は、岩崎弥之助・久弥宛加藤高明書簡(三菱史料館所蔵)を論文(奈良岡聰智「岩崎家深川別邸の西洋画購入について」)の中で全文翻刻し、紹介することができた。同論文の発表は、今後『加藤高明関係資料集成』刊行に向けて重要なステップになったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、2022年度末頃まではコロナ禍が続くことを前提に研究計画を立案した。それゆえ、コロナ禍により海外渡航や史料収集を円滑に進めることが難しい状況からはほとんど影響を受けていない。次年度も、本年度の成果を踏まえ、引続き史料の目録化、電子データ化およびそれを使った著書や論文の執筆を軸として研究を続けていく予定である。 本年度は、いくつかの研究会やシンポジウムを対面(またはハイブリッド)形式で開くことができ、議論や意見交換を深いレベルで行うことができたという意味では、昨年度よりも格段に成果があった。2023年度からは海外渡航に対するも制約も小さくなるものと予想され、既に本研究の成果を海外学会などで報告し、海外での史料調査も再開すべく下準備を進めている。着実にそれを実行したいと考えている。
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