2021 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル人文学が拓くアフリカ史研究の新地平:エチオピア・カファ地方をモデルとして
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21H00574
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 早悠里 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20726773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | デジタル人文学 / アーカイヴズ / アフリカ史 / エチオピア / カファ地方 / F.J.ビーバー / A.ミリウス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にあたる2021年度は、F.J.ビーバー資料群を中核としたエチオピア南西部カファ地方に関するデジタル・アーカイヴズの構築を目指して、研究をスタートさせた。本研究課題は、エチオピア南西部カファ地方に関する(1)アーカイヴズ資料の渉猟・発掘、(2)F.J.ビーバー資料群とA.ミリウス資料群を中心としたアーカイヴズ資料の整理・翻刻およびその詳細解明、(3)アーカイヴズ構築にむけたデータ準備の作業、これらの3点を並行して行うことが必須である。(1)は、主としてヨーロッパとアメリカを中心に、(2)はオーストリアとエチオピアにて、現地調査を行う必要がある。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画の大幅な見直しを迫られた。 そこで、(1)のアーカイヴズ資料の発掘にかかる現地調査ついては、新型コロナウイルス感染症が落ち着くまで持ち越すこととした。そして、(2)のアーカイヴズ資料の整理・翻刻の作業に注力して進めることとした。まず、F.J.ビーバー資料群のうち、写真資料のデジタル化を完了した。F.J.ビーバー資料群の民族誌的資料に関して、エチオピアでの現地調査を実施し、民族誌的資料の詳細情報を蓄積した。また、A.ミリウス資料群については、研究協力者であるハル・イン・チロル市の研究員を中心に、写真資料のデジタル化、文書資料のデジタル化と翻刻に着手した。(3)については、研究協力者であるオーストリア科学アカデミー・人文学文化遺産センターの研究員を中心として、F.J.ビーバー資料群のデジタル画像のメタデータの作成に取り組んだ。 また、A.ミリウス資料群のデジタル画像をオーストリア科学アカデミー・デジタル人文学文化遺産センターのデータベースで取り扱うにあたり、同センターとA.ミリウス資料群の所有者であるハル・イン・チロル市との間で、資料の寄託契約についての手続きを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、海外での現地調査を当初の研究計画の通り進めることが困難であったため、エチオピア南西部カファ地方に関する新たな資料の渉猟・発掘を実施することができていない。これについては、現地での調査が可能になり次第、現地に渡航して研究の遅れを挽回できるように努める。他方で、F.J.ビーバー資料群およびA.ミリウス資料群のアーカイヴズ化については、デジタル化を順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、オーストリアの海外研究協力者やオーストリアの研究機関と緊密に連携しながら研究を進める。また、F.J.ビーバー資料群のうち、データ準備が完了した資料から随時デジタル・アーカイヴズとしてデータを公開していく。また2021年度は、海外研究協力者とオンラインでの打ち合わせ・研究会を実施してきたが、今後は、対面方式での打ち合わせ・研究会も実施していく。対面形式によって時間をかけて話し合うことで、課題に対する新たな方策や展開を見出すことができると考える。
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