2022 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル人文学が拓くアフリカ史研究の新地平:エチオピア・カファ地方をモデルとして
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21H00574
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 早悠里 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20726773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | デジタル人文学 / アーカイヴズ / アフリカ史 / エチオピア / カファ地方 / F.J.ビーバー / A.ミリウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、エチオピア南西部カファ地方の民族学的研究の第一人者F.J.ビーバーと、F.J.ビーバーと共に同地を訪問したA.ミリウスの資料群を核に据えたカファ地方に関する歴史資料のデジタル研究プラットフォームを構築することを目的とする。そのために、エチオピア南西部カファ地方に関する(1)アーカイヴズ資料の渉猟・発掘、(2)F.J.ビーバー資料群とA.ミリウス資料群を中心としたアーカイヴズ資料の整理・翻刻およびその詳細解明、(3)アーカイヴズ構築にむけたデータ準備の作業、これらの3点を並行しながら行う必要がある。 以上を踏まえ、2年目にあたる2022年度の実績は以下のとおりである。 (1)について、1905年にF.J.ビーバーとA.ミリウスがエチオピアを訪問した際のオーストリアの使節団のメンバーが遺した資料の有無についての調査を開始した。特に、使節団の団長であったL.ホーネルの資料群(写真・文書)について、オーストリアの国立図書館と国立文書館で調査を実施した。L.ホーネルの資料を通じて、F.J.ビーバーとA.ミリウスのエチオピア訪問の状況や背景の解明が期待できる。ただし、現状では資料調査はまだ十分とはいえず、引き続き調査を継続する必要がある。 (2)については、オーストリア国立図書館が所蔵するF.J.ビーバー資料群の文書資料のデジタル化を開始した。これにより、今後の翻刻作業が円滑に進むことが期待できる。また、F.J.ビーバー資料群の民族誌的資料の詳細解明にむけて、エチオピアでの現地調査も実施した。 (3)については、研究協力者であるオーストリア科学アカデミー・人文学文化遺産センターの研究員を中心として、F.J.ビーバー資料群のデジタル画像のメタデータの作成に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者ならびに研究協力者の不測の事態により、2022年度の研究について年度内の完了が困難となったことから、繰越制度を用いて研究を実施した。ただし、研究そのものはF.J.ビーバー資料群のデジタル化が予定通りに進んでおり、デジタル・アーカイヴズの構築にむけた準備も順調に進んでいる。また、エチオピア南西部カファ地方における、F.J.ビーバー資料群の民族誌的資料に関する詳細解明についても現地での調査を順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、オーストリアの海外研究協力者やオーストリアの研究機関と緊密に連携しながら研究を進める。また、F.J.ビーバー資料群のうち、データ準備が完了した資料から随時デジタル・アーカイヴズとしてデータを公開していく。また、研究成果の発表と公開ならびにそれらの周知にも力を入れる。
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