2021 Fiscal Year Annual Research Report
エチオピアにおける郷土史・地方史の体系的収集・分析を通した多元的歴史認識の解明
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21H00579
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
石原 美奈子 南山大学, 人文学部, 教授 (20329741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 早悠里 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20726773)
眞城 百華 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30459309)
大場 千景 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (90637688)
松波 康男 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (90811125)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エチオピア / ティグライ / オロモ / ベニシャングール・グムズ / 郷土史 / 地方史 / 歴史認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
エチオピアでは、2021年度を通して、コロナ禍の影響に加えて、ティグライ紛争、およびオロモ急進派武装組織の活発化により政情不安定の状況が続き、その影響を受けて、大場を除く代表者・分担者は、現地調査を実施することができなかった。ただ、2022年2月に南山大学でハイブリッドで研究会を開催し、大場は研究会出席のために一時帰国をして、研究成果を発表した。 石原は、国内で過去30年間の調査の過程で蓄積した音声資料や写真(スライド・ネガ)のデジタル化を行った。石原は、エチオピア南西部にあるオロミア州ジンマ県においてムスリム知識人が保有するアラビア文字資料を「収集(画像データ化)」する作業を通して、消滅の危機にある文字資料の保存を行うとともにその分析を実施してきた。現地調査に行けなかったため、これまで「収集」してきたアラビア文字資料の読解につとめた。吉田は、エチオピア南西部にあるオロミア州ジンマ県ゲラ郡において郷土史の収集を行ってきたが、現地に赴けなかったため、これまでの調査資料の分析を行った。眞城は、エチオピア北部のティグライ州ならびにエリトリアにおいて歴史研究を行ってきた。主に1943年にティグライ州で発生した農民反乱、1975年以降のTPLFの反政府闘争に参加した女性兵士のライフヒストリーを中心に分析してきたが、ティグライ紛争発生のため現地に赴くことができなかったので、政治動向分析を実施した。松波は、ベニシャングール・グムズ州の少数民族マオ、コモ、ベルタを対象とする研究を予定していたが、政情不安定のため現地調査ができず、来年度の現地調査に向けた準備を行った。アルシ大学に勤務している大場は、オロミア州南部バーレ県・アルシ県・ボラナ県におけるオロモ諸集団(アルシやボラナ)の現地調査を実施し、興味深い研究成果を挙げている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍とティグライ紛争の影響で、渡航して現地調査を実施することができないメンバーが多かったので、「当初の計画以上に進んでいる」とはいえないものの、メンバーはそれぞれできる限りの方法で調査地の情報収集に努めており、これまでの調査の整理や分析、成果発表に時間を割くことができた点において、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、エチオピアの一部地域においては現地調査を実施することができる見込みであるので、現地調査ができるメンバーについては、それぞれの調査地で郷土史・地方史の収集と分析を行うことになる。ただ、エチオピア北部で起きているティグライ紛争と西部で勢いを増しているオロモ急進派武装組織の攻勢の影響で、おそらくはティグライ州ならびベニシャングール・グムズ州において現地調査を実施することはできない状態が続くと思われるので、代替の調査・研究の方策を模索する必要があるだろう。
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Research Products
(14 results)