2022 Fiscal Year Annual Research Report
Climate Change, Commoner, and the Classic Period Collapse in Mesoamerica
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21H00592
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
市川 彰 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 准教授 (90721564)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メソアメリカ / オアハカ / リオ・ビエホ遺跡 / 民衆 / 生活 / 発掘 / 住居 / 編年 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人類史と環境史の編年を高精度で比較し、民衆の生活という視点から、紀元後700~1000年頃に起きたメソアメリカ古典期社会の衰退の実像を解明することである。特に、紀元後800年頃に起きたとされる干ばつ前後のオアハカ地域の民衆の生活変化に着目して研究を進めている。具体的な課題としては、1)人類史の高精度編年の確立、2)民衆の経済活動の通時的変化の解明、3)民衆の生業と食生活の通時的変化の解明、4)紀元後800年頃に起きたとされる干ばつとベルデ川流域社会の衰退との因果関係の解明である。 2年目である2022年度は、研究対象遺跡であるメキシコ合衆国オアハカ州の太平洋岸に位置するリオ・ビエホ遺跡の一般住居址の遺物整理を実施し、古典期後期から後古典期前期にかけての一般民衆の生活を復元できる資料(土器、石器、土偶、土製・石製装飾品、貝製品、古人骨、動物骨など)を整理することができた。層位および土器の型式学的な分析によって、古典期後期から後古典期前期のおおまかな編年を構築することもできた。考古学的に重要な成果としては、古典期後期から後古典期前期にへの移行期に、庶民たちが大量の土器を用いて終末儀礼をおこなっていることが明らかになった点である。調査地区によって土器の大きさが異なることから、複数世帯が共同でおこなっていた、あるいは各世帯レベルでもおこなっていた可能性が示唆され、これは庶民たちが社会変化を何らかの形で重要ととらえ、さまざまなレベルで対応していたことを示唆するものである。また、武器と思われる石器が後古典期前期になると増加することも興味深く、後古典期前期は社会的に不安定であった可能性を示唆している。最後に、発掘調査成果報告書をメキシコ政府に提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のなかで遅延が予想されたが、予定通り発掘調査をおこなえたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の大きな目的のひとつである高精度編年については、放射性炭素年代測定用の資料の持ち出し許可が得られなかったため、次年度に関係機関に打診し、進める。また、古人骨や動物骨の専門家による分析をすすめていく。2024年1~6月に再度現地調査を実施するために国外の共同研究者らと連絡を取り合い、メキシコ政府に許可申請をおこなう。
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Research Products
(8 results)