2023 Fiscal Year Annual Research Report
出土陶磁器と交易関連文書に基づく前近代日本=カンボジア間交易・交流史の復元研究
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21H00601
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 香子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (30565635)
久保 真紀子 立正大学, 仏教学部, 専任講師 (40793386)
佐藤 由似 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 主任専門職 (70789734)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポスト・アンコール時代 / アンコール時代 / クメール陶器 / バイヨン寺院 / アンコール・ワット近世碑文 |
Outline of Annual Research Achievements |
22年度に引き続き、研究会を実施した。内容は次の通りである。ポスト・アンコール時代研究会第10回:2023年6月24日(土) 下田麻里子(早稲田大学)「スレイ・サントーの中世上座部仏教寺院について」 各班ともに昨年度の継続調査を実施した。美術史班は、アンコール時代からポスト・アンコール時代の社会・宗教システム変化理解のために、バイヨン寺院にのこるポスト・バイヨン期の図像学的調査を実施した。文献班はアンコール・ワット近世碑文の読解調査を実施し、考古班はあらたにバイヨン寺院周辺のGPR調査を継続し、バイヨン期以降の増改築と考えられる痕跡をのさらなる調査を実施した。また、バイヨン寺院周辺の上座部仏教寺院の調査を実施した。 年度後半は24年度実施予定のシンポジウム準備として、それぞれの試論の準備を行った。美術史班の調査により、アンコール時代からポスト・アンコール時代にかけて宗教図像の変容理解については、仏伝およびラーマーヤナの図像学的研究が有効であることが明らかとなった。文献班のアンコール・ワット近世碑文の調査から、ポスト・アンコール時代には、アンコール・ワット詣での風習があり、王族の寄進や参拝だけでなく、様々な階層・集団の参拝があったことがあきらかとなった。アンコール・ワットに残された17世紀の墨書は、こうしたアンコール・ワット詣でに参加した外国人旅行者によるものであり、当時の風習にのって実施された可能性を指摘できた。考古班はバイヨン寺院のGPR調査から、同寺院がアンコール時代の中心寺院だっただけでなく、ポスト・アンコール時代にも増改築がみられる事が明らかとなった。また、フィリピンなど他の東南アジア諸国でもクメール陶器の出土が見られることから、日本=カンボジア間だけでなく、前近代における東アジア=東南アジア多国間陶磁器交易の可能性を指摘できた。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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