2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the diversity contained in the management and use of plant resources of the Jomon period
Project/Area Number |
21H00614
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
能城 修一 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (30343792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 雄一郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (30456636)
佐々木 由香 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 特任准教授 (70642057)
鈴木 三男 東北大学, 学術資源研究公開センター, 名誉教授 (80111483)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 森林資源管理 / 森林資源利用 / 有用植物 / 編組製品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,クリとウルシを中心とした縄文時代の森林資源の管理と利用に付随する植物群の存在と利用部位を解明し,集落周辺における森林資源管理に存在 した多様な植物利用の実態を明らかにする。 本年度は,以下の遺跡で森林資源の管理と利用に関して検討を行った。 (1)埼玉県真福寺貝塚では発掘調査で出土した縄文時代晩期の木胎漆器と板目材,自然木の樹種同定行うとともに,ボーリング試料の花粉分析を行った。その結果,貝塚周辺の台地上では縄文時代後期から晩期にかけて,ナラを主体とする落葉広葉樹林が存続し,クリ林が維持されていたほか,晩期にはウルシ林も存在した。谷沿いにはトチノキが生育し,晩期にはヤナギ属も増加した。漆器にはトチノキが,板目材にはクリが使われており,ごく近傍で素材が採取されたことを示していた。 (2)埼玉県デーノタメ遺跡では,昨年度の分析では欠落していた縄文時代後期前葉の堆積物試料の分析を行った。その結果,縄文時代中期から後期にかけて,寒冷な4.2kaイベントを跨いで落葉広葉樹林が存続し,集落の維持とともに,クリ林とウルシ林が維持されて,その資源が低地の建築物の構造材や漆液として活用されていた。また,オニグルミとトチノキは塚をなしており,そこにはキハダや,ニワトコ,ムクロジ,ミズキ,クワ属,コウゾ属などが共伴し,種実の利用を示唆した。寒冷な4.2kaイベントは縄文時代の人々の生活にあまり影響を及ぼしておらず,この点を中心としてデーノタメ遺跡の研究成果を取りまとめ,論文として投稿した。 以上の出土資料の検討のほかに,昨年度に引きつづいてラオス国立大学と共同研究を行い,縄文時代の編組製品の素材の採取と利用の実態を解明するための基礎資料として,編組製品の素材の調達や製作過程の聞き取り調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真福寺貝塚は発掘調査が現在行われており,その進捗状況にあせて分析を進める必要ある。そのため,当初の予定より分析が遅れ気味となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当年度におこなった真福寺貝塚の分析を継続するとともに,下宅部遺跡や鳥浜貝塚の植物資料を検討し,森林資源管理と利用の時期や地理による違いを解明する。それらに加えて,研究期間全体での成果を取りまとめて論文化を進める。
|