2022 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study of Immergence of Culture in the Midst of Social Crisis in Africa
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21H00653
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 館長 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 哲也 中京大学, 現代社会学部, 教授 (60468238)
緒方 しらべ 京都精華大学, その他の部局, 講師 (10752751)
伊東 未来 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (70728170)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アフリカ / 危機 / 文化 / 創発 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画2年目の2022年度には、7月に対面での研究会を実施し、各メンバーのこれまでの研究の進捗状況を確認するとともに今後の研究計画を立案した。この時点で、メンバー3人の調査対象国における、内戦(マリ、モザンビーク・ザンビア国境地帯)、大統領選挙(ナイジェリア)等による政情不安が懸念されることが話題となった。結局1月まで政情を見極め、現地調査の可能性を探ったが、改善の兆しはなく、研究協力機関と研究協力者の活動も制限された。このため、成果取りまとめに不可欠な現地調査は困難と判断し、繰越の手続きをとった。 研究分担者の亀井だけが調査対象国の南アフリカに3月に渡航することができ、およそ3年半ぶりに調査地のンデベレ地域に入った。コロナ禍のもとでの暮らしぶりをについて聞き取り調査を実施し、リモートで聴取していた男子成人儀礼の延期、祝宴で人びとが集まることの規制、博物館活動の抑制等の実態を把握することができた。 研究代表者の吉田は、内戦の悪化を懸念し計画していたモザンビーク、ザンビアへの渡航を断念し、日本国内での文化の創発に関する調査を実施した。研究分担者の伊東も、同様に紛争により現地調査ができず、日本国内においてオンラインを活用し、マリにおける古文書や史料などの電子化が、それらを生み出してきた人びとにどのように受容されているのかを、電子化に付随するアクセシビリティや公開性の高まりなどの観点から考察した。同じく緒方は、大統領選挙による政情不安から現地調査を見合わせたが、ナイジェリアでの調査協力者を通じてのリモート調査により、大都市ラゴスと地方都市イレ・イフェでのアートのあり方を比較し検討した。また日本国内で活躍するナイジェリアの画家やミュージシャンらと研究集会を開催し、大学生らと交流するなかで参与観察やインタビュー調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画期間の2年目である2022年度は、感染症COVID-19の世界的流行が収まりきらないこととともに、メンバー3人の調査対象国の内戦(マリ、モザンビーク・ザンビア国境地帯)、大統領選挙(ナイジェリア)等による政情不安のため、研究協力機関と研究協力者の活動が制限され、成果取りまとめに不可欠な現地調査が困難となり、研究に遅れが生じた。ただし、現地研究機関とメールおよびオンラインで連絡を取り合うことにより、一定の情報収集の成果はあった。 研究代表者の吉田は、ザンビアとモザンビークの国境地帯での紛争が納まらず渡航を断念し、リモートによる調査と国内での調査を実施した。研究分担者の伊東は、マリのほぼ全土に退避勧告が出ていたため現地調査はかなわなかったが、文献調査やSNS・メール等による質問票調査を進めた。同緒方は、国内でできる範囲において概ね順調に調査を進めた。同亀井は、唯一研究対象国に赴き、順調に調査を進め情報を収集できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画期間の3年目以降については、補助金の再々繰越は難しいことから、政情不安定で現地での調査が困難な場合は、出稼ぎ等で第三国に滞在する人々を調査対象にすることも視野に収めつつ、引き続き現地研究機関とメールおよびオンラインで連絡を取り合うことでの情報収集に努めることとする。 研究代表者の吉田はザンビア、研究分担者の伊東はマリ、緒方はナイジェリア、亀井は南アフリカに渡航し、現地調査を実施する予定である。
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