2021 Fiscal Year Annual Research Report
予防原則・協働原則・透明性原則に立脚した都市法学の体系的変革に関する比較実証研究
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21H00676
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大橋 洋一 学習院大学, 法務研究科, 教授 (10192519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勢一 智子 西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)
大脇 成昭 九州大学, 法学研究院, 教授 (30336200)
原田 大樹 京都大学, 法学研究科, 教授 (90404029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 都市法 / 災害法 / 土砂災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都市法制における災害リスクへの対応を主要課題の1つとしており、とりわけ、都市法制と災害法制との交錯場面に着目している。例えば、都市法制がこれまで数多くの開発行為を規律し、都市部では平坦地として開発するために多くの盛土がなされてきた一方で、都市周辺部では山間地やその麓まで都市化を進めた結果として、都市居住者が土砂災害の被害(特に盛土に起因する災害)に遭う例が数多く報告されている。このように、土砂災害法と都市法は密接に関わっているのである。 現代の災害法制では、復旧をメインとした従前の対応から災害予防に研究の重点がシフトしており、予防主義の観点が一層重要性を増している。また、情報提供を通じて、市民と行政機関の情報共有を進め、地域の防災能力を向上するなど、情報コミュニケーションプロセスとして都市法・災害法が進展する状況にある。加えて、都市法では災害対応の必要から、区域設定を前提とした各種命令などの規制手法に加え、誘導手法、情報提供手法、組織措置などを組み合わせて、多重防御の観点から、施策が展開されているため、こうした各種行為形式や手法を対象に全体像の解明が不可欠である。このほか、計画、協議会などを活用して、総合調整を図るメカニズムが当該法分野では発展している。こうした新たな法制度や法原則の進展に照準を合わせて、本研究は、災害法学との融合により都市法学を抜本的に改革し、新領域法学の確立を目指す。こうした取り組みは、災害法といった分野の開拓に資するほか、都市法の抱える現代的課題への対応方策を提供し、また喫緊の政策課題に対する手段を実務に提示する意義をもつものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市法制研究として、都市法制全体を対象とした体系書の執筆を2021年度も精力的に進めてきた。土地利用制度やそこで用いられる手法に関して分析した章は、制度研究や判例研究、文献調査など、ほぼ全て完成にまで至っており、あとは救済法分野にかかる記述を残すところまできた。 他方で、災害法との関連では、2021年7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害事例を研究対象として、国土交通省都市局都市安全課にヒアリング調査を実施したほか、各地方公共団体が制定した土砂条例の分析を進め、同省の研究会に参加した。また、法案作成に対する関与として、衆議院国土交通委員会に政府参考人として参加し、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(いわゆる盛土規制法)の法案に関して意見を述べることを行った。このほか、災害法で初めてとなる体系的な学術書を編集企画し、原稿は2021年度中にすべて出版社に入稿することができた。この企画には、編者として大橋洋一が参加して土砂災害にかかる章を担当したほか、執筆者には本研究に参加している大脇成昭、原田大樹の両教授が加わっている。同書の中では、都市法制との関連も分析対象とされている。合わせて、ドイツの研究者とは定期的にオンラインで連絡を採り、次年度以降に予定されている海外調査の打ち合わせを重ねてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、執筆中である上記の都市法制に関する体系書を完成させ、公表することに努めたい。これにより、当該分野で不足している体系的な研究書を公刊することができる。 これに加えて、編集している災害法に関する体系書も公刊することに尽力したい。同書の刊行により、この分野では初めての学術的な法学分析の体系書を世に出すことができる。このほか、災害法研究としては、従前から存在する宅地造成等規制法が改正の対象とされ、法律名も「宅地造成及び特定盛土等規制法」(いわゆる盛土規制法)と改める法案が閣議決定されたことから、同法案を対象に同法の分析を深めたい。当該法律は、様々な点で、土砂災害に係る(従前の)法律の問題点を克服する試みを含むものであり、当該法律に限定されない一般的な参照価値をもつ。同法が現実の業績現場で着実に執行されるために、省令に委任された技術基準のあり方や規制の実効性を高めるためのガイドラインのあり方についても、国土交通省の研究会に参画しながら、実務と学界の架橋を形成できるよう努めたい。その上で、そこで得た知見を本研究に還元することを考えている。
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Research Products
(17 results)