2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21H00696
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
孫 寧 大阪大学, 社会経済研究所, 招へい教授 (30302384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹澤 成弘 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90252717)
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
數村 友也 京都大学, 経済学研究科, 講師 (50804960)
ZHOU YU 京都大学, 経済学研究科, 特定講師 (40807450)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オークション理論 / マッチング / アルゴリズム設計 / 経済実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
労働市場の標準的マッチング・モデルでは、事前的なコミットメントが考慮されていない、すなわち(相手が合意すれば)雇用者側はどの労働者を雇うことも、労働者側はどの雇用者の下で働くことも可能である。しかし、十分な労働者を雇っており、定年まで(また一定の期間)雇用することを契約している雇用者は、雇用中の労働者が自発的にやめない限り、他の労働者を雇うことができない。労働者側も、ある企業で一定の期間働くことを契約している場合には、その企業の同意がない限り他の企業で働くことができない。本研究では、そのような(事前的な)コミットメントがあるマッチング・モデルを研究した。標準的マッチング・モデルにおける代表的なアルゴリズムは、DA(受け入れ留保)とTTC(トップ・トレーディング・サイクル)である。しかし、コミットメントがあるマッチング・モデルで、そのどちらも安定的なマッチングを見つけることができないという意味でうまく機能しない。本研究は、その両者のハイブリッドを考案し、そのハイブリッドが安定的なマッチングを見つけることを示した。 複数の非同質財を非準線形な選好を持つ入札者に配分するモデルにおいて、最小価格ワルラス・ルールが、耐戦略性、個人合理性や対称性などの望ましい性質を持つルールのクラスの中で、収入を事後的に最大化させることが知られている。(Kazumura, etal., 2020)しかし、そこでは入札者の数が財よりも多いことを仮定していたが、現実にはその仮定が成立しないことも多い。そこで本研究は、その結果が、入札者と財の数に関わらず成立することを示した。 待ち行列の順番割り当てモデルにおいて、人々が順番について単峰な選好を持っている環境について、研究した。そして、その環境で、ヴィックリー・ルールが、耐戦略性、効率性と個人合理性を満たす唯一のルールであることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度において、「研究実績の概要」で説明したように、本研究の主要分析対象の一つであるマッチング・モデルに、事前的なコミットメントを導入した上で、安定的なマッチングを見つけるアルゴリズムを作成することに成功した。標準的マッチング・モデルにおける代表的なアルゴリズムは、DAもTTCも安定的なマッチングを見つけることができないことからも、そのようなアルゴリズムの作成は、非常にオリジナリティの高い成果である。この研究成果としてまとめた論文(Ning & Zaifu, 2021)が当該分野の世界トップジャーナルであるJournal of Economic Theoryに公刊されたことからも、世界的に非常に高く評価された研究であると言える。 周波数オークションも研究目的で主要分析対象として挙げており、2021年度において、周波数オークションについても研究を行った。そのモデルにおける事後的な収入最大化の定理(Kazumura, etal., 2020)は非常に強い結果であったが、現実に応用する場合には、入札者の数が財よりも多いという仮定が障害となっていた。その障害を取り除くことによって現実のより多くの場合に応用できるようにしたことが、本研究の重要な成果である。この結果をまとめた論文(Sakai & Serizawa、2023)が当該分野の重要なジャーナルであるSocial Choice and Welfareに公刊されたことも、重要な成果であることの証左である。 さらに、待ち行列の順番割り当てモデルの研究成果をまとめた論文(Zhou, Chun & S Serizawa, 2023)も、当該分野の重要なジャーナルであるInternational Journal of Economic Theoryに公刊された。
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Strategy for Future Research Activity |
政府は、雇用する人々に応じて金銭的な動機付けをしばしば行う。例えば、外国人労働者を雇用する企業に特別に税金を課したり、逆に地元の労働者を雇用した場合には、補助金を出したりなどである。そのような金銭的な動機付けを行う政策が、労働市場における均衡の存在と安定性に与える影響を分析する。労働者ー雇用者マッチングの標準的なモデルにおいて、(粗)代替性条件は、均衡の存在と安定性にとって非常に重要であることが知られている。(GulandStacchetti, 1999, 2000; Milgrom, 2000; Hatfieldetal., 2013; Yang,2017)本研究では、金銭的な動機付けを行う政策を、雇用する労働者の集合族から実数への移転関数として定式化し、どのような移転関数が代替性条件を保持し得るかを分析する。 複数の非同質財を非準線形な選好を持つ入札者に配分するオークション・モデルにおいて重要な同時競り上げオークションについても、平行して研究を進める。 米国や日本など多くの国では、宅地は宅地開発事業によって供給されるという点で、宅地開発事業における家屋の割り当ては非常に重要なテーマである。そこで、宅地開発事業における家屋の割り当てモデルにおいてコアを分析し、配分がコアであるための必要かつ十分条件がワルラス均衡であることを示した。さらに、コア配分を達成しるためのメカニズムを考案する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Crowding in School Choice.2021
Author(s)
William Phan, Ryan Tierney, Zhou Yu
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Journal Title
Discussion Paper No. E-21-006, Graduate School of Economics, Kyoto University
Volume: 21-006
Pages: -
Open Access / Int'l Joint Research
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