2022 Fiscal Year Annual Research Report
Time Allocation, Intra-Household Productive Activities and Health Capital Formation
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21H00725
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
梶谷 真也 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (60510807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
McKenzie Colin 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10220980)
井深 陽子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20612279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 時間配分 / 労働供給 / 健康 / 余暇 / 育児 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,時間配分の変化が健康に与える影響について,以下の分析に取り組んだ. 梶谷とマッケンジー,研究協力者の坂田は,オーストラリアのHousehold, Income and Labour Dynamics in Australia (HILDA) Surveyのマイクロデータを用いて,中高年男性の労働時間が健康状態に与える影響の分析を継続した.具体的には,国際学術雑誌SSM - Population Healthに投稿した論文について,査読者からのコメントに基づいて論文の改訂を進めて再投稿した.この研究では,労働時間が週24時間から27時間以下の場合,労働時間の増加は健康状態にプラスの影響を与える一方,労働時間がこれ以上長くなると労働時間の増加は健康状態にマイナスの影響を与えていることを明らかにしている.そして,労働時間が50時間を超えると,働いていない状態と比べて健康状態が悪くなることを示した.これらの結果は,オーストラリアの中高年男性は週24時間から27時間程度のパートタイム労働に従事することで,働かない場合に比べて健康状態の能力を維持または向上させることができることを示唆している.再投稿した論文はSSM - Population Healthに掲載された. また,梶谷とマッケンジー,井深は,日本の社会生活基本調査を用いて,労働時間量(時間帯)や睡眠時間量(時間帯)が健康状態に与える因果効果を捉える分析を始めた.具体的には,データの基本統計量などを確認してデータの傾向を掴んだのち,関連する先行研究のサーベイを行った.加えて,睡眠時間が健康状態に与える影響について,操作変数法を用いた推定モデルを採用することを検討し,予備的な分析結果を得た.しかし,利用した操作変数について識別戦略の妥当性に問題が生じたことから,それとは異なる識別戦略について検討を重ねた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文が国際学術雑誌に掲載されるなど順調に進んでいるテーマもあるが,昨年度の研究時間の減少分を補うだけの研究時間の確保はできなかったことから,本課題の全体的な進捗はやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
梶谷とマッケンジー,研究協力者の坂田は,日本のマイクロデータを用いて,就業行動と健康行動や身体的・精神的健康状態との関係について分析を試みる予定である. 井深は,経済活動が健康に与える影響のメカニズムを明らかにするために,社会生活基本調査を用いてどのような活動が所得受取後に増えているかを検証する予定である. また,梶谷とマッケンジー,井深は,日本の社会生活基本調査などを用いて,就業行動の変化が睡眠時間量(時間帯)などの生活時間の変化に与える因果効果を捉える分析を進める予定である.
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Research Products
(2 results)