2022 Fiscal Year Annual Research Report
Government Debts and Productivity: Financial Crisis in the East German Planned Economy
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21H00732
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 靖 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (60189066)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 計画経済 / 社会主義経済 / 政府債務 / 生産性 / 資本市場 / 資金循環 / 国民経済計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度から延長した研究課題については,2023年度中に予定以上の前進があった.ただし,2023年度の研究実績で報告した通り,ドイツ連邦公文書館が複写依頼受付を2024年初から停止したため、2022年度収集資料のフォローアップ(既調査分の欠損資料・関連資料の調査収集,新規発見資料シリーズの継続収集)を予定期間内に終了することは困難な状況となった.フォローアップ調査の進行速度が遅くならざるを得なくなったため,2022年度収集資料にもとづいておこなう予定だった1970年代を中心とする東独実物経済-金融経済連関分析を2023度中に完了することはできなかった. 一方、2022年度の資料調査において、金融機関間資金配分計画・実績の両指標を含む年次報告書を東独期全体をほぼカバーする範囲で収集できたことは大きな成果だった.ただし,やはり自身による複写作業が必要になったことによる収集時間の絶対的不足により,なお欠損年が散在し,欠損年の資料の存在についても現時点では調査できていない状態である. 以上のことから、発表段階に至った研究業績は資料収集が進んだドイツ統一後の民営化期の分析にかたよる結果となった。つまり,1. ドイツ統一の際の人的資本ストックの賦存状況とそれが統一過程に与えた影響の調査,2.社会主義経済崩壊から現在に至る期間の旧社会主義国における資本市場機能発展の統計モデルによる評価,3.ドイツ統一時点の旧東独企業の価値評価とその後の旧東独企業民営化のための費用評価の3つのテーマについて発表した。一方,2022年度収集資料を使った1970年代東独金融経済分析は,とりあえずデータに欠損があるままで,統計モデル分析を開始した段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2022年度分の研究計画延長で予定した研究課題は,当初の計画以上に進展した.東独国有金融機関の年次財務報告については,所在確認できているものについては収集まで予定通りに完了した.加えて,新規に「全経済信用配分計画・実績報告」シリーズを発見し,東独のほぼ全期間について収集できたことは大きな成果だった.利用価値が高く秘匿度も高い「年次国民経済バランス報告」の新規発見はなかったが,これは想定内であり,調査を継続する.
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツ連邦公文書館が公文書館自身の公文書デジタル化作業を優先するとの理由で2023年末に利用者発注による複製作成を廃止した.そのため,すべての公文書について,内容調査の上,資料として収集必要な場合は,スマートフォンあるいは照射機能をオフにしたブックスキャナで自身で複写する以外に複製を作成する方法は無くなった.文書保護のため自照式の複写装置はいかなるタイプのものも許可されておらず,フィーダ機能も許可されないため,自身による複写作業には多くの時間が必要になる.従来は複写発注により複写作業に時間をかけることなく,文書調査作業に注力できたが、現在は自身で複写する時間が資料収集に必ず加わることになり、公文書調査収集にかかる時間は大幅に増大することになった.資料の新規発見だけでなく,ほぼ収集済みの資料にもなお欠損部分があるため,研究計画全体の再編も視野に入れた研究計画の見直しを検討している.
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Research Products
(3 results)