2022 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of economic effect on firms and economy triggerd by disaster and anti-infection measure through large-scale supply chains
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21H00743
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 寛康 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (60418499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸堂 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30336507)
藤原 義久 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (50358892)
伊藤 伸泰 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, チームリーダー (70211745)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サプライチェーン / シミュレーション / 並列計算 / 災害 / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大規模かつ網羅的なサプライチェーンデータを用いることで、複雑性を排除せずに企業の生産活動をモデル化し、富岳コンピュータほか並列計算機を用いたエージェントベースシミュレーションにより、災害・感染症対策による各企業および経済全体の被害推計を行うことである。具体的には、国内においては各企業が持つ事業所間のレベルでサプライチェーンをシミュレートし、被害がどのような速さで、また地理的にどのように広がっていくかなど、従来できなかった詳細な分析を行う。本研究では、東京商工リサーチより提供される企業数160万以上、取引関係600万以上の日本のサプライチェーンデータ、政府統計である経済センサス・企業活動基本調査から得られる600万にのぼる事業所に関する詳細データを用いてシミュレータを精細化する。 今年度は、昨年度に引き続き、サプライチェーンのモデルを、企業レベルから各企業が持つ事業所レベルへと精細化した。これまで東京商工リサーチ社提供の企業レベルのサプライチェーンデータを用い、企業の活動を本社1つとして扱っていたものを、政府統計である経済センサスのデータを統合し、各企業が持つ事業所とその住所、事業内容を把握した。これにより160万企業のサプライチェーンを600万事業所からなるサプライチェーンへと精細化した。結果として、以前行った東日本大震災を用いたモデルの最適化をやり直し、よりよい推計を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、研究計画書にあるとおり、経済センサスを取り込むことを実施した。現在、まだ論文が公開されていないものの、事業所データを取りこむだけでなく、事業所レベルのネットワークへの展開に成功しており、順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、研究計画として申請したとおり、これまでに果たされたモデル改善を踏まえて、災害・感染症対策の精細で柔軟なシナリオについて推計を行う。たとえば、地震には周期性があるため、過去の地震を再度現代において評価することは意味がある。そこで、過去の地震が今起きるとどのような被害があるのかを推計する。また、南海トラフ沖地震・関東直下型地震は地震調査委員会を中心に細かな予測がなされている。これを用いて将来の地震・津波についても同様に推計する。異常気象による水害も同様である。感染症対策においては、現在のCOVID-19の状況も踏まえつつ、特定の国あるいは複数の国からの需要・供給が途絶する場合の我が国への影響を推計する。また緊急事態宣言が再度発令される可能性もあり得るが、たとえばある都道府県だけに発令するか、他の都道府県も一緒に発令しても企業間の関係性からほとんど損失に差がないのかなど、組み合わせ的に無数にシナリオが考えられる。
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