2022 Fiscal Year Annual Research Report
企業の採用活動と組織魅力に関する統合的研究:道具的―象徴的枠組みからの接近
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21H00749
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鄭 有希 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00468828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 規彦 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (40387569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 企業イメージ / 組織魅力 |
Outline of Annual Research Achievements |
「企業の採用活動と組織魅力に関する統合的研究:道具的―象徴的枠組みからの接近」という題名で、2021年度から4年間の計画で研究を進めている。本研究課題の主な目的は、企業イメージを構成する道具的属性(給与、勤務地など)と象徴的属性(家族的企業、創造的企業など)の概念的枠組みを用いて、多様な採用形態(新卒採用、中途採用、再雇用など)に対応できる新たなモデルを構築するための理論的・実証的研究を行うことである。 上記の研究目標を達成するため、2022年度は、企業イメージと組織魅力度の関係における個人の条件要因(キャリア志向、性格特性など)に関する仮説モデルを構築することを目的とし、定量調査に先立ち、求職者を対象とした定性調査(半構造化インタビュー)を実施した。2022年度の成果の一部は国内外の学会や学術誌に報告され、特に「契約不履行に対する従業員の感情的反応と職務態度―キャリアリズムによる調整効果―」と題された論文は、「産業・組織心理学研究」の第3回優秀論文賞を受賞した。本受賞論文では、従業員の感情反応や職務態度は、従業員が抱く企業イメージ(雇用契約履行能力の有無)や組織の魅力と高い相関があり、これらの要因を理解することは、組織の採用戦略や人材マネジメントに重要な示唆を与えた。 ・鄭有希(2023.3)契約不履行に対する従業員の感情的反応と職務態度―キャリアリズムによる調整効果―. 産業・組織心理学研究, 36(2), 157-171. 【査読有】【優秀論文賞受賞】https://doi.org/10.32222/jaiop.36.2_157
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究成果の概要で述べたように、2022年度は、①企業イメージと組織魅力度の関係における個人の条件要因(キャリア志向、性格特性など)に関する仮説モデルを構築し、②求職者(新卒、中途、再雇用)を対象とした大規模なアンケート調査によって得られた定量データをもとに、仮説モデルの検証を行うことであった。実際、2022年度前半期には、①採用・広報戦略・組織行動研究に関する文献レビューとデータ収集、②企業イメージと組織魅力度の関係における求職者個人の条件付け要因を明らかにすることを目的として、定量調査に先立ち、求職者を対象とした定性調査(半構造化インタビュー)を実施した。また、2022年度後半期には、上記①②の研究成果を踏まえ、定量データで検証可能ないくつかの作業仮説を策定した。ただし、定性調査(半構造化インタビュー)は新卒者を中心に実施し、当初予定していた中途・再就職者へのインタビュー調査は進めることができなかったが、2022年度は概ね計画通りに進捗したと評価できる。 2022年度の研究成果の一部は、国内外の学会や学術誌に報告され、特に「契約不履行に対する従業員の感情的反応と職務態度―キャリアリズムによる調整効果―」と題された論文は、「産業・組織心理学研究」の第3回優秀論文賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進策として、まずは中途採用者・再雇用者に焦点を当てた調査を実施することが重要である。この調査によって、雇用形態によって個人の企業イメージや組織の魅力に対する認識にどのような要因が影響しているのかを明らかにすることができる。そのためには、適切な参加者のリクルートとインタビューの実施計画を立てる必要がある。具体的には、インターネット調査を専門に行う会社に委託し、中途採用者及び再雇用者を対象にインタビュー調査を実施する予定である。 また、来年度に予定されている定量調査に向けては、仮説モデルをより詳細化し、検証する必要がある。特に、採用パターンの異なる個人間の比較や、様々な個人要因が組織の魅力に与える影響の違いを明らかにすることが重要である。そうすることで、より精緻な理論モデルが構築され、実践に役立つ知見が得られることが期待される。
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