2021 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル時代におけるグローバルな不平等とローカルな不平等の関係分析
Project/Area Number |
21H00765
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
佐藤 嘉倫 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (90196288)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永吉 希久子 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50609782)
瀧川 裕貴 東北大学, 文学研究科, 准教授 (60456340)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | グローバルな不平等 / ローカルな不平等 / エージェント・ベースト・モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はプロジェクト初年度なので、プロジェクト全体を貫く理論的枠組の構築、入手可能なデータの選定、エージェント・ベースト・モデルの基本構造の検討を行った。 プロジェクトメンバーによって得られた主な知見は次のようになる。 (1)グローバル/ローカルな不平等の結節点として、移民をとりまく不平等がある。欧米出身の移民については、グローバルな人種ヒエラルキーの中で、アジア諸国では優位な位置に置かれるとの指摘がある一方、日本の欧米移民については周辺化されているという指摘もある。この点について、2018年に実施した調査データの分析を通じ検証を行ったところ、欧米出身移民は語学関係職を中心とした専門職に集中し、自分の能力を生かすことができていると感じていた。しかし、他の移民に比べ被差別経験が少ないわけではなく、他の移民以上に日本人に社会の一員として扱われいないと感じる傾向にあった。この結果は、グローバルなヒエラルキーが欧米出身移民の経済的地位を高める一方で、ローカルな人種的コンテクストの中では、ビジブル・マイノリティとして周辺化されていることを示している。 (2)エージェント・ベースト・モデルの構成要素として、国民、国家、グローバルシステムを想定し、それらの間の相互関係について検討した。これらは単純な上下関係ではなく、相互連関する動的過程の中にあることを明確にした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で海外研究協力者と対面で研究会を行うことはできなかった。しかし次善の策としてオンライン会議を開催することによってプロジェクトを推進することができた。国内研究チームもやはりオンライン会議によって情報を交換した。その結果として、初年度に想定していた目標をある程度実現することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まだコロナ禍の状況が予測できないため、オンライン会議を中心にして研究を推進する。次年度はデータ分析とエージェント・ベースト・モデルの構築を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)