刑事裁判の弁護活動へのソーシャルワーク専門職の関与のあり方に関する総合的研究

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21H00799
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Institution: Nihon Fukushi University
• Principal Investigator: 藤原 正範 日本福祉大学, ソーシャルインクルージョン研究センター, 研究フェロー (90410935)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 掛川 直之 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (30825302) ; 湯原 悦子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60387743)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 司法ソーシャルワーク / 刑事弁護 / 更生支援計画 / 情状証言 / 立ち直り支援 / 再犯防止

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、研究代表者の基盤研究(C)「犯罪者の立ち直り支援に有効な資源開発に関する総合的研究」（2018～2021年度）の成果を引き継ぐ目的を有するものである。計画段階に想定した研究活動は、①福祉のニーズのある被告人等の刑事裁判に関する量的・質的分析、及び弁護士の意識調査、国外の情報収集など本課題に関する基礎的データの収集、②刑事裁判の弁護活動にソーシャルワーカーが関与した実践例の収集、及び同活動におけるソーシャルワーカーに必要な力量の考察、③②の実践についての社会的効果の検証、を取り組むことであった。
基礎的データと実践例の収集については、並行して実施中の基盤研究(C)の活動として「司法ソーシャルワーク研究会」（オンライン・定例）、「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」,2021年10月3日開催の「司法ソーシャルワーク研究集会」において実施した。
本研究の研究費によって行う初年度の活動は、福祉ニーズのある被告人及びその裁判に関するデータ収集のための調査活動の詳細を決定し、「『人を対象とする研究』に関する倫理審査委員会」（以下、倫理審査委員会という）の承認を得て、2022年度から着手できる準備を整えることであった。調査の第一は刑事弁護における社会福祉士の関与の実態を単位弁護士会・都道府県社会福祉士会を訪問して調査すること（以下、訪問調査という）であり、第二は特定の地方裁判所の刑事裁判を集中的に傍聴調査することにより福祉ニーズを有する被告人の量的・質的把握を行うこと（以下、傍聴調査という）である。新型コロナウィルス感染症による行動制限が続く中、研究代表者と研究分担者との間の協議が進まず、倫理委員会への申請が遅れ、承認が得られたのは、訪問調査が2022年4月19日、傍聴調査が同年7月22日であった。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究計画では、初年度予定する活動は、基盤研究(C)の成果を本研究に引き継ぐこと、及び研究目的を達成するための具体的な調査方法の詳細を決定し、倫理審査委員会への申請を行い、年度内に承認を得ることであった。
前者は順調に推移した。後者は、倫理審査委員会の承認が2022年度になり、計画より遅れる結果となった。

Strategy for Future Research Activity

基盤研究(C)の研究活動が終了予定であるため、同研究で実施してきた「司法ソーシャルワーク研究会」、「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」,「司法ソーシャルワーク研究集会」を本研究の活動として確実に引き継ぐ。
2つの調査活動に関して、2022年度、可能な限り今までの遅れを取り戻す努力をする。倫理審査委員会の承認後2つの調査活動にすぐに着手する。訪問調査については、予定している単位弁護士会、都道府県社会福祉士会に依頼文書を送付し、調査の同意が得られたところから順次開始する。傍聴調査については、調査会社に研究委託を行うための事務の調整と契約書作成、裁判所・検察庁・弁護士会への協力要請、調査員に対する研修に取組み、2022年度内に第1次調査に着手する。
可能な限り2022年度中に2021・2022年度の2か年に予定した活動を完了し、2023年度以降は計画通り遅滞なく研究を進行するよう努めたい。