2022 Fiscal Year Annual Research Report
末梢と脳を繋ぐロスマリン酸のmicroRNA産生を介した認知症予防機作の解析
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21H00804
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 彰子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (90348144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 悠毅 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30590202)
岡田 晋治 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50376563)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロスマリン酸 / microRNA / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病モデルマウス(Tg2576)を用いた検討において、ロスマリン酸(RA)の12ヶ月間の摂食により、認知機能低下および脳内アミロイドβ凝集の抑制が観察された。21年度はこれらの抗AD効果と呼応し血中および脳内で発現が上昇するmicroRNA-A(miR-A)の機能として、脳神経細胞に対するJNKシグナル抑制を介した抗炎症作用を見出した。 脳内ではミクログリア細胞が炎症反応において重要な役割を担っていることから、22年度はミクログリア細胞に対するmiR-Aの影響を調べた。対照群とRA群に分けて1年間飼育されたTg2576マウス(Tg-C, Tg-RA)の脳サンプルを用いて、Aβおよびミクログリアマーカー分子Iba1の免疫組織化学染色を行った。その結果、大脳皮質下部において、Aβ沈着とAβ面積あたりに集積したミクログリアの数がTg-RA群で少ない傾向が見られた。Aβに集積したミクログリアは炎症メディエータを放出するM1活性化型であると考えられる。Tg-C群で認知機能が低下し、Tg-RA群で認知機能が改善したという表現型とあわせて考えると、Tg-C群ではAβにミクログリアが多く集積して炎症が亢進している一方で、Tg-RA群ではそれが抑制された可能性が考えられた。 miR-Aを過剰発現させたマウスミクログリア細胞株(MG6)にLPSで炎症を惹起し、炎症応答を評価した。miR-A群では、ELISAにおいて炎症性サイトカインの低下が見られ、リアルタイムPCRでは、MAPKカスケード上の複数の標的遺伝子の発現低下が見られた。以上より、MG6において、miR-Aが複数のMAPK関連遺伝子の発現抑制を介してIL-6およびIL-1βの産生や放出を抑えることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験で抗AD効果と呼応し上昇したmicroRNAの機能についてミクログリア細胞を用いて検討し、標的遺伝子を同定し、表現型を確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度までに得られたデータを論文として投稿する。臨床試験から示唆された変動miRNAの機能について、ヒトミクログリア細胞および神経細胞を用いて評価する。
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Research Products
(2 results)