2021 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・アフリカ地域における教育の包摂性の実相に関する国際比較研究
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21H00830
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川口 純 筑波大学, 人間系, 准教授 (90733329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 一雄 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (70294600)
古田 弘子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60315273)
杉村 美紀 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60365674)
森下 稔 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60300498)
櫻井 里穂 広島大学, ダイバーシティ研究センター, 准教授 (50509354)
日下部 達哉 広島大学, IDEC国際連携機構:CICE, 准教授 (70534072)
利根川 佳子 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 専任講師 (10608186)
大塲 麻代 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (30578828)
白銀 研五 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 准教授 (70826213)
林 真樹子 聖心女子大学, グローバル共生研究所, 助教 (20772221)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 包摂の多様性 / 障害種別 / 人権・政治的アプローチ / 教育・機能的アプローチ / 宗教と障害観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教育のインクルージョンにおける包摂過程に焦点を当て、途上国の国際比較を通して包摂形成への示唆を得るものである。「包摂」と「排除」は二項対立で捉えられることが多いが、実際には各国の政策や教育実態も多種多様である。例えば、Dyson(1999)は包摂を多義的な言説と捉えた上で、人権的な言説としての包摂は「場」の問題に収斂する一方、効果を重視した包摂は当該児童を「特別」な存在として固定化させているとする。そこで本研究では、各国が教育の包摂性を志向する過程を焦点化し、自省的な包摂形成の評価モデルを構築する。国際比較によって各国間の進展度合いを明らかにするのではなく、各国内において包摂に資する事象や阻害要因を相対的に把捉することを目的とした。具体的にはアジア・アフリカの初等教育を対象に、教育政策・制度に包摂性を汲み込む過程につき、教育政策、学校、地域社会の3層から検討し、国際比較研究を通して包摂形成への示唆を導出した。その上で各国において自省的かつ形成的な包摂の評価モデル構築を試みた。 令和3年度は研究枠組み、体制の確立を実施した。(1) 研究枠組みの確立(5月下旬:第1回全体研究会議 Web上での連絡会議を実施)(2) メールベースや文献を活用した関連基礎資料の収集、整理(5~9月)(3) 対象国の感染状況を考慮しつつ、第一次現地調査の実施(8月~10月) 対象者の選定として学校、地域での調査は各国において、偏りの生じないように地域(都市部農村部)、宗教、学校種、男女等を考慮して、当該国の代表性を担保した。インタビュー方法として政策担当者、学校教員、地域住民の3者を対象に実施する。質問内容は、「教員養成」、「特殊教育の位置付け」、「指導員の在り方」、「ボランティアの活用」、「予算配賦」の5点は共通項目として半構造化させておき、各国で活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部、東南部アフリカ地域においてコレラ等の感染症の蔓延により、現地調査に遅れが生じたものの文献収集は順調に進んでいる。また、アジア地域を中心に第一次の現地調査の実施も予定通り、進んでいる。そのため、全体としてはやや遅れているという結果になった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの状況に鑑み、現地調査の実施時期は柔軟に変更して、オンラインでの情報収集、議論を推進することも検討する。途上国での現地調査を中心に進める研究であるため、コロナ以外の感染症のリスクや内戦の危険など、様々な情勢を考慮して、研究を推進する。令和4年度は研究の推進段階として下記の研究実施を計画している。 (1) 第2回全体研究会議の開催(5月)。収集資料や取りまとめた会議報告は、英語でデータベース化し、ウェブ上で公開しながら国際共同研究の対象とする。(2) 日本比較教育学会におけるラウンドテーブルの開催、第3回全体会議の開催(7月)(3) 第二次現地調査の実施(8月~10月)、調査結果の分析(10月~12月)(4) 比較国際教育学会等、関連学会での研究発表の実施(1月~3月) 令和5年度は展開段階として、現地調査の推進とともに、データ分析を実施する。オンライン上で全体の検討会も開催する。全体の検討会では、各国の調査データを持ち寄り、国際比較を実施する。各国の研究者が、包摂モデルの多様性を整理し、自国の包摂状況やその特色を客観化し、相対的に把捉することを試みる。
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