2021 Fiscal Year Annual Research Report
高校・大学進学機会の格差と義務教育の格差克服の可能性に関する追跡調査研究
Project/Area Number |
21H00834
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
川口 俊明 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20551782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 隆裕 横浜市立大学, データサイエンス学部, 教授 (00270413)
垂見 裕子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (10530769)
松尾 剛 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (50525582)
樋口 裕介 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80587650)
松岡 亮二 早稲田大学, 留学センター, 准教授(任期付) (80637299)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 教育社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,生まれ育った家庭環境の違いによって,子どもたちの学力や教育機会に差が生じる「教育格差」の問題が注目を集めている。教育格差を改善するには,現時点の格差の実態把握はもちろん,格差の生成過程を分析することが必要だが,日本はこうした分析に利用できる個人を追跡するデータ(≒パネルデータ)の蓄積に乏しい。本研究では,西日本のある自治体の2016年度の小学4年生を対象に,かれらが2025年度に19歳(≒大学1年生)になるまで追跡したパネルデータを構築・分析することで,高校・大学進学機会の格差が生じる過程を明らかにする。 採択年度である2021年度は,調査の趣旨説明を行い,同意を得られた保護者に対して学歴・年収等を尋ねる保護者調査を実施した。当初は質問紙による実施も検討したが,調査票の配布や回収で学校現場への負担が生じることを懸念する教育委員会等との調整の結果,オンライン調査で行うことになった。保護者票の設問については,2016年度に申請者らが実施した保護者調査の設問を踏襲した。 2021年11月末にオンライン調査を行ったところ,回収率は約10%と非常に低調であった。そもそもサーバへのアクセス数が少なく,保護者がオンライン調査に不慣れ(あるいは忌避感を持っている)ことが影響したと思われる。回収したサンプルを分析したところ,子どもの成績が高く家庭環境に恵まれた層に回答が偏っている傾向があることが明らかになった。 初年度から回収率が低いというつまづきがあったが,調査目的を今後の学力格差・教育格差の分析に必要なパネル調査の在り方に関する試行検証を行うことに切り替え,2022年度以降も調査を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保護者調査の回収率が低いという思わぬ結果はあったものの,今後の学力格差・教育格差の分析に必要なパネル調査の在り方に関する試行検証としては十分な成果を得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
回収率が低かったため,2021年度調査で得られたサンプルサイズは1000件程度にとどまっている。ただ回収率は低いものの,小中学校在籍時の学力実態がわかる調査は貴重である。また今後,同様の調査を実施する際の試行検証としても,本調査の経験は有益であると考える。サンプルサイズが小さくなったことで保護者だけでなく子どもに回答してもらう余裕もできたため,調査目的を今後の学力格差・教育格差の分析に必要なパネル調査の在り方に関する試行検証に切り替え,課題を洗い出すことを目的に,2022年度以降も調査を継続していくこととした。
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Research Products
(3 results)