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2023 Fiscal Year Annual Research Report

行動コンサルテーションにおける遠隔相談の効果評価と発達障害乳幼児支援への応用

Research Project

Project/Area Number 21H00845
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

大石 幸二  立教大学, 現代心理学部, 教授 (80302363)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大橋 智  東京未来大学, こども心理学部, 講師 (00774217)
松下 健  北陸学院大学, 社会学部(社会学科), 教授 (90768706)
矢野 善教  作新学院大学女子短期大学部, 幼児教育科, 准教授 (10848352)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords行動コンサルテーション / 遠隔巡回相談 / 言語行動 / 心理師 / モデル・コンサルテーション / 外部専門家 / ハイブリット形式の行動コンサルテーション / コンサルティの満足度
Outline of Annual Research Achievements

行動コンサルテーションにおける遠隔相談の効果評価について、パイロット・ケーススタディを実施した。新たに鹿児島県こども総合療育センターをフィールドとして、種子島(学校センター拠点型)、十島(無医村)、屋久島および徳之島(巡回相談型)などのサテライトへの後方支援の波及モデルを検討した。その際、①医療型施設が発達支援を進めるための明確・的確な根拠としての診断を行い得る余力の確保、②医学的診断を含む医療情報提供を受け取る現場が、それを発達支援の根拠資料として効果的に活用し、具体的に実践する仕掛けづくり、③支援の効果を検証するモニタリング・システムの構築と発達支援の人材のエンパワメントの検討、④自治体の住民が等しく質の高いサービスを享受できる施設・機関そのものの組織改革などの課題を析出した。なお、成果物としては「医学から見た障害理解と支援」「生活モデルと新しい障害概念」「事例会議とスーパービジョン」を含む『障害福祉入門』を編集した(出版は、2024年6月予定)。
前記の②と③の課題を解決するために、発達障害乳幼児相談のボリュームゾーンである就学移行期の支援体制に向けた遠隔による動画コンテンツを制作した。また、山口大学教育学部特別支援教育教室での公開シンポジウムに参加し、就学前からの総合的発達支援体制の整備が強度行動障害を含むチャレンジング行動の予防に寄与することに関する資料の収集なども行った。なお、成果物として『鹿児島県こども総合療育センター:受診申込・紹介票の改定』を試作した(現在、モニタリング調査中)。
上記の研究については、保育・療育・教育現場でのアクションリサーチ、言語行動・非言語行動の影響プロセスの分析、関係性(治療同盟)が相談・協議に及ぼす影響の評価、さらには遠隔相談の受け手であるコンサルティが相談・協議過程をいかに評価しているかについて収集した資料を活用している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

行動コンサルテーションにおける遠隔相談の効果評価を4つの側面から検討した。研究代表者の大石は、第1~2年次の研究成果をふまえて、言語行動と非言語行動の両方が相談・問題解決の過程に影響を及ぼすことを考慮して、動画コンテンツ制作を進めた。この動画には医師による解説や保健福祉部長との対話など行政と協働する社会実装の事前段階の資料が収録されている。映像制作会社のプロのディレクターによる演出を受けながら、上記のこれまでの研究知見を成果物に反映することができた。動画を視聴するモニター(コンサルティ)の評価については、現在調査中である。なお、この動画の活用法については、研究代表者と研究協力を依頼している鹿児島県こども総合療育センター医師(センター長)により、研修会等の機会を通じて周知を図っている。そのような取り組みにより、2024年度以降の有力なフィールドとして南さつま市よりすでに依頼がなされたところである。次年度(最終年度)に向けての見通しを立ち、その意味で所期の目的をおおむね達成することができた。
また、研究分担者の大橋の研究課題についても、都道府県の総合教育センターとの協働に基づくコンサルティ満足度尺度の標準化に取り組み、矢野の研究課題についても、市区町村の放課後デイサービスの事業所との連携に基づく事例検討会議の特設に成功している。
このように、行政やステイクホルダーとの連携・協働により、社会貢献・社会実装を推進するための基盤が築けたことにより、第4年次(最終年度)の研究を推進するための基盤が整えられ、「おおむね順調に進展している」と評価した。

Strategy for Future Research Activity

最終年度の研究課題は、行動コンサルテーションの枠組を活用した遠隔相談の社会実装である。これまで、遠隔相談の効果検証のために、非言語行動の影響力に関するアナログ研究(一般青年を対象とする研究)を行うと共に、遠隔相談技術を用いて現場実践群(保健師・保育士・教師など)を対象とする行動の機能分析を進めてきた。これまでに開発したリアルタイムモニタリング技術を就学前の障害福祉、幼児教育を含む学校教育、卒業後の障害者福祉につなぐ理論を教育の文脈でも構築して、その実装を図るところまでを目指す。これらの試みは、研究計画時に構想した準専門家や非専門家を後方支援することによって、障害福祉領域における地域包括ケアの実現や、地域福祉システムの活性化、さらには共生社会実現のための基盤を築くことに結びつくものである。そして、福祉と教育の垣根を設けずに、統合的に人材育成を図ることができる理論化を達成する応用発展的な研究を誘発することが可能となる。
このような試みを成功裏に進め、研究をさらに加速するために、RAの雇用を行い、①遠隔相談の社会実装に関わるデータ整理・解析、行動観察と記録の補助を得るなどして、未発表の研究を学術研究論文として発表する。
また、これまでの研究により少しずつ拡大してきたフィールド間の比較について、当初の計画では十分に展望できていなかったけれども、その地域差・文化差、歴史性の影響は無視することができないくらい大きなものであることから、比較検討を進めるように取り組んでいく。加えて、本研究で明らかにされてきた相談・協議に対する影響変数についてこれらを実験的に操作し、効果検証を行う実証的な研究も併せて進める必要がある。最終年度には、これらの新たな検討課題についても可能な範囲で進捗させることを目指す。

  • Research Products

    (10 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 知的障害を伴う自閉スペクトラム症幼児に対する随伴模倣を用いた社会スキルの促進2024

    • Author(s)
      大石幸二
    • Journal Title

      言語文化学会論集(言語文化学会)

      Volume: 60 Pages: ―

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 心理士による学校巡回相談における効果認知の領域2024

    • Author(s)
      大橋智・矢野善教・原口政明
    • Journal Title

      東京未来大学保育・教職センター紀要

      Volume: 11 Pages: ―

  • [Presentation] 知的障害のある生徒の自立活動における心理的な安定に関する社会モデルの検討2023

    • Author(s)
      下山真衣・小林愛・堀知音・堂山亞希・大石幸二
    • Organizer
      日本特殊教育学会第61回大会自主シンポジウム(横浜国立大学;ハイブリット開催)
  • [Presentation] 福祉・教育領域における公認心理師の協働によるシームレスな就学支援2023

    • Author(s)
      熊仁美・佐々木恵・山本淳一・石川菜津美・足立潤・大橋智
    • Organizer
      公認心理師の会総会・研修会(東京大学駒場キャンパス)
  • [Presentation] 遠隔面接において心理師の表情はラポールに影響を与えるか―表情から受ける印象の性差を考慮して―2023

    • Author(s)
      松下健
    • Organizer
      日本教育心理学会第65回総会(オンライン・オンデマンド)
  • [Presentation] 心理師の表情と服装は遠隔カウンセリングのラポールに影響するか?2023

    • Author(s)
      松下健
    • Organizer
      日本心理臨床学会第42回大会(パシフィコ横浜)
  • [Presentation] 遠隔支援技術を用いた巡回相談支援システムの社会実装①―Apple Schoolworkシステムを用いた支援システムの開発―2023

    • Author(s)
      大橋智・榎本拓哉・遠藤愛・小川洸菜・原口政明・矢野善教
    • Organizer
      日本特殊教育学会第61回大会自主シンポジウム(横浜国立大学;ハイブリット開催)
  • [Presentation] 遠隔支援技術を用いた巡回相談支援システムの社会実装②―通級指導教室における活用可能性の検討―2023

    • Author(s)
      遠藤愛・榎本拓哉・大橋智・小川洸菜・原口政明・矢野善教
    • Organizer
      日本特殊教育学会第61回大会自主シンポジウム(横浜国立大学;ハイブリット開催)
  • [Book] 障害福祉入門(仮)2024

    • Author(s)
      大石幸二編著
    • Total Pages
      151
    • Publisher
      学苑社
    • ISBN
      978-4-7614-0850-3
  • [Book] 事例で学ぶ教育・特別支援のエビデンスベイスト・プラクティス2024

    • Author(s)
      小関俊祐・大石幸二・嶋田洋徳・山本淳一責任編集
    • Total Pages
      213
    • Publisher
      金剛出版
    • ISBN
      978-4-7724-2028-0

URL: 

Published: 2024-12-25  

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