2022 Fiscal Year Annual Research Report
Screening test of autism spectrum disorders for developmental support
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21H00938
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30251614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (20253403)
徳永 豊 福岡大学, 人文学部, 教授 (30217492)
實藤 和佳子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60551752)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / コホート研究 / 発達支援 / 項目反応理論 / 教育心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
3歳児向け1次スクリーニングテストについては,令和3年度の項目反応理論による分析結果から項目内容を精査し,コミュニケーションに関わる5項目について内容の改変を行い,さらに限定した興味と反復行動に関する2項目を追加した計17項目からなる改訂版を作成した。また,養育者が対象児の様子や行動特徴を把握し容易に反応できるようするため,多肢選択肢を用いた3歳児向け2次スクリーニングテストも作成した。2次スクリーニングテストは15項目で構成され,3あるいは4つの選択肢が用意されている。各選択肢は自閉スペクトラム症傾向の程度を把握できるように段階的な内容となっている。 糸島市と研究協力協定を結び,3歳児検診時に,1次スクリーニングテストと2次スクリーニングテストを同時に実施した。養育者110名からの回答が得られ,項目反応理論によるスクリーニングテストの分析を行った。1次スクリーニングテストについては,コミュニケーション能力に関する10項目と限定した興味と反復行動に関する7項目を分け,それぞれに対して2パラメータロジスティックモデルを用いて分析を行った。その結果,コミュニケーション能力については,項目パラメータの標準誤差が極端に大きい項目を除くと,7項目によって能力を測定可能であることが分かった。また,限定した興味と反復行動については,6項目によって傾向を測定可能であることが分かった。2次スクリーニングテストについては,一般化部分得点モデルを用いて分析を行った。その結果,14項目によって自閉スペクトラム症傾向を測定可能であることが分かった。今後,データを蓄積ならびに分析結果に基づき,スクリーニングテスト項目内容を確定し,テストの最終版を作成する予定である。なお,本研究課題と関連した20年に渡る縦断研究の成果をまとめ,発達心理学研究第33巻第4号に論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染症拡大に伴い,自閉スペクトラム症のお子さんとその家族を対象とした支援キャンプが中止となり,自閉スペクトラム症の方のデータ収集が困難となったこと,調査協力関係にある保健師ブロック協議会メンバーが,コロナウィルス感染拡大の影響で業務過多となり,調査協力時間確保が困難となったこと,研究協力協定を結んだ糸島市における乳幼児検診時での調査実施体制構築に時間を要したことによって,当初予定していたよりも調査の実施時期が遅れ,精度の高いスクリーニングテスト開発に必要となる回答数を十分に確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルス感染症拡大に伴う行動制限が緩和され,自閉スペクトラム症のお子さんとその家族を対象とした支援キャンプの実現の可能性も高まり,研究協力協定を結んだ糸島市における乳幼児検診時での調査実施体制も構築でき,乳幼児検診時での調査を通年で継続的に実施することが可能となったことから,調査規模を拡大できる見通しが立っている。
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