2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H00941
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加藤 正晴 同志社大学, 赤ちゃん学研究センター, 准教授 (20408470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 容子 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (60422903)
木谷 俊介 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (70635367)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 選択的聴取 / 聴覚 / 発達 / 幼児 / 学童 |
Outline of Annual Research Achievements |
騒がしい中で聞きたい音を聞きとることは選択的聴取と呼ばれている。近年他の子供より聞き取りが苦手な子ども達が報告されるようになってきた。しかし彼らを早期に発見するためには日本語環境下での選択的聴取の発達を測る標準化された発達検査が必要である。標準化された発達検査の成績と参加者の生育記録を組み合わせることにより選択的聴取の発達メカニズムを疫学的に探ることも本研究の目的の一つである。 今年度は主に選択的聴取の発達を調べるための課題の開発を進めた。開発にあたり課題を2種類用意した。一つは街の雑踏のような背景雑音の中でターゲットとなる話者の音声を聞き、なんと言っていたか答える課題(FG課題)、もうひとつは両耳に異なる音声を同時に聴き、なんと言っていたか答える課題(CW課題)である。加えて内耳の働きを調べる耳音響反射検査も実施した。対象は4歳から12歳までを想定し、実験室に来所いただき実施する方法を採った。今年度は7歳70名8歳79名に実施した。 上記の結果をまとめ、日本音響学会の論文誌に投稿し速報論文として掲載された。本論文は短時間で実施可能かつ十分な精度をもつ選択的聴取の発達検査開発に向けた取り組みの第一弾の論文である。 本論文により、小学2年と成人には正答率に大きな差があること、学童群内の個人差が大きいこと、2種類の課題の成績間の相関が低いことを明らかになった。こうした特性はこの2種類の課題が選択的聴取能力の異なる2側面を捉えていることと、個人差を表現可能な指標となっていることを示唆しており、標準検査として有効であることを示している。 その他、発達研究の新しい研究枠組みとして、オンライン調査プラットフォームの開発に関する展望論文を執筆し投稿・掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の調査は、当研究センターがサブユニットセンターとして関与する環境省が実施する子どもの健康と環境に関する全国調査の参加者を対象として、彼らが小学2年時に参加する学童期検査の追加調査として行った。学童期検査は4年間でおよそ500名程度のデータを収集する予定で今年度は3年目に当たった。それ以外の年齢の参加者に対しての調査はコロナ禍の影響で実施することが困難であった。出張しての調査も今年度は実施ができなかった。 全体的に新型コロナウィルスの蔓延のなか対面調査の実施は非常に厳しかったが、十全の対策を取りながら実施にあたり多くのデータを取ることができた。 それまでにまとめていたデータも加えて速報として日本音響学会に論文を投稿し採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいるため、このまま進めていく。 疫学的データ収集のため、引き続きエコチル調査の追加調査を実施する。標準化データの収集のために新型コロナウィルスの流行が収まるタイミングでこちらから他施設に伺い出張調査の実施も模索する。
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