2021 Fiscal Year Annual Research Report
自閉スペクトラム症児への発達特性の変化を考慮した司法面接の適用に関する縦断的研究
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21H00942
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上宮 愛 金沢大学, 人文学系, 講師 (50555232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 真紀子 立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00172255)
伊藤 大幸 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80611433)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 司法面接 / 子どもの証言 / 自伝的記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
児童虐待や事件・事故の被害者、目撃者となった子どもから、正確にその供述を聴取することを目的として、「司法面接」と呼ばれる面接技法が用いられる。本研究課題では、自閉スペクトラム症をもつ子どもによる司法面接でのパフォーマンス(報告される情報量・正確性・誤情報量など)に影響を及ぼす要因についての解明を目的としている。特に、自閉スペクトラム症をもつ子どもにおける、国内の実践において最もよく用いられるNICHDプロトコルと呼ばれる面接手続きの効果について検証する。 自閉スペクトラム症をもつ子どもを対象とした司法面接の研究は少なく、今年度は文献や国外の司法面接ガイドライン等をレビューすることによって、NICHDプロトコルを自閉スペクトラム症児者に適応することに関わる研究知見をまとめた。 また、2021年度4月より、法務省はこれまで子どものみを対象としていた国内の司法面接の実践を一部の障がいを持つ性犯罪被害者に対しても適用する方針を明らかにし、試験的な運用を開始することを発表した。これに伴い、国内の実務家より、自閉スペクトラム症児者を対象とした司法面接に関わる研究知見についての情報提供の要請があった。今年度は、年間10回にわたって「自閉スペクトラム症と司法面接」に関わるオンライン講座を開催し、国内の警察官・検察官延1447名以上情報提供を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、自閉スペクトラム症の診断をもつ子どもと定型発達児を対象とした実験を行う。特に、対面による個別実験を含むものであったため、感染症予防に十分配慮し、国内での子どものワクチン接種等が進む状況を見据えながら研究を進める必要があったため、実験の実施が当初の予定よりも遅れている。また,自閉スペクトラム症の診断をもつ子どもの研究参加者の募集において、当初予定していたフィールドでの募集が困難となり、参加者の選定を再検討する必要性が生じた。加えて、実験には、司法面接が実施できる実験者が必要となるが、すでに養成を終えていた実験者より物理的な問題(研究代表者の所属が変わったことにより、実験者の居住している地域が遠くなってしまった)から協力を得ることが難しい状況が発生したため、新たに実験者の養成を行う必要が生じた。そのため、研究を行うための準備等に時間を要し、当初の計画よりも大幅な遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた実験計画を見直し、本研究課題に関連する実験の一部をオンライン等において実施する方法を模索する。また、十分な研究参加者を確保することを目的として、研究協力者を加え、国内で複数の拠点においてデータ収集を実施する方針を検討する。
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