2021 Fiscal Year Annual Research Report
COVID-19関連失業者の心理的ストレスと包括的支援ー環境と個人へのアプローチ
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21H00945
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 美保 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (10549281)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 失業 / COVID-19 / プログラム / 心理的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、大きく分けて2つの研究を行った。 研究1は、COVID-19関連失業の失業者のストレス研究である。研究1は研究1-1と1-2に分けられる。研究1-1では、再就職支援会社でCOVID-19下の失業者の就労支援をしているキャリアコンサルタント11名を対象に、失業者のストレスについて半構造化面接によるインタビュー調査を行い、質的調査を行った。現在、そのモデル図をまとめたところであるが、それを基にしたフォーカスグループインタビューを行い、メンバーチェックを行うことでさらにモデルを精緻化する予定である。 研究1-2では、失業者のストレス尺度の作成である。研究1-1の質的調査の結果を基に尺度を作成し、COVID-19が拡散して以降失業状態にあり、就職活動を行っている人300名を対象にインターネット調査による予備調査を行った。さらに、予備調査の結果から尺度を精緻化して、上述と同様の対象1000名を対象にインターネット調査による本調査を行った。これから、その結果を受けて、失業者のストレス尺度を完成させるとともに、その関連変数との関連を検討を行う予定である。 研究2は、当初は実施予定ではなかったが、区の社会福祉協議会と連携して失業者を含む生活困窮者を対象とした調査を行うことができた。本調査は、失業者及び失業予備軍となりえる総合支援資金特例貸付(再貸付)を利用している方を対象に行われたものであり、2021年6月から11カ月間にわたって毎月該当者に発送し、これまで1000余りの調査票を発送し、150余りのデータを回収している。今後はこのデータを分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定はほぼ順調に進めることができていることに加え、関係者とのコンタクトの中から、失業予備軍ともいえる生活困窮者に対する予防的かかわりを含めた包括的な支援を視野に入れて、研究を拡大することができた。この発展は、本研究が施行している地域支援への足掛かりともなる意義のあるものであり、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施した質的研究と、2つの量的調査のデータ分析を行い、COVID-19下の失業者のストレスおよびメンタルヘルスの実態把握を行う。さらに、それらのデータを基に、更なる質的調査を重ねることで、今後の心理的支援策のあり方について検討を加え、介入プログラム開発向けた準備を行う予定である。 具体的には、質的研究については、協力者のメンバーチェックを行うことによって、失業者のストレスの体験プロセスのモデル図をさらに精緻化する。 また、量的調査については、失業者を対象としたインターネット調査と、都内A区の生活困窮者を対象にした量的調査について分析を行い、COVID-19下の失業者や生活困窮者のストレスやメンタルヘルスの実態および関連要因を明らかにする予定である。それによって、ハイリスク群を特定するとともに、どのような個人の対処方略があるか、また周囲の支援策があり得るかを検討する。 さらに、研究1ー2と研究2の結果を元に、調査協力者を対象にインタビュー調査を実施し、失業者及びその予備軍となる生活困窮者のCOVID-19下のストレスについて質的に理解を深める。その中から、地域支援および個人支援のあり方について可能性を探る予定である。
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