2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21H00971
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
馬 昭平 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80633255)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 直交型モジュラー形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
直交群O(2,n)に対するベクトル値モジュラー形式の基礎理論を構築した。従来のスカラー値はSO(2)を利用するものでアーベル的と言えるのに対し、ベクトル値の理論はO(n)の部分を利用するもので、非アーベル的なものである。ホッジ構造的には中間のホッジ成分の利用である。 構築した理論ではジーゲル作用素やフーリエヤコビ展開へのトロイダルコンパクトを用いた幾何学的アプローチを確立した。ジーゲル作用素はトローダル境界因子への制限+保型ベクトル束の縮退+カスプへの降下として捉えられる。また、フーリエヤコビ展開はトロイダル境界因子におけるテイラー展開と捉えられる。幾何学的アプローチを採ったことでことでジーゲル作用素やフーリエヤコビ係数の保型性、およびフーリエヤコビ展開の保型性が自動的に従う。また、1次元カスプにおける保型ベクトル束のフィルトレーションを見出し、ベクトル値ヤコビ形式の分解定理を証明した。このフィルトレーションは表現論的にはO(n)の表現のO(2)O(n-2)への制限に関する分規則と対応している。 また、基礎理論の応用として次数の小さいモジュラー形式に対する複数の消滅定理を証明した。一つ目の消滅定理ではフーリエヤコビ展開とヤコビ形式の分解を用いた。2つ目の消滅定理ではユニタリ表現の分類とL2ノルムの漸近評価を用いた。L2なベクトル値モジュラー形式をリー群の上の函数に持ち上げ、そこからユニタリ表現を構成し、ユニタリ表現の分類と照らし合わせる。一方次数が小さい時は常にL2となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幸運にも短期成果主義の弊害から距離をとって、長期的視点を持って自分のペースで数学ができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
モジュラー形式の具体的構成に進む。
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