2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H00974
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤野 修 京都大学, 理学研究科, 教授 (60324711)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 極小モデル理論 / 混合ホッジ構造 / 複素解析空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もとても実りの多い一年であった。2007年あたりから研究していたquasi-log schemesの基礎理論は完成したと思う。元々Ambroによって導入された概念であるquasi-log schemesであるが、私は初期のころはコンパクト台コホモロジーに入る混合ホッジ構造を用いた小平型消滅定理の応用として理論を整備し利用してきた。この2006年から2008年ぐらいにかけて実行した小平消滅定理の一般化と双有理幾何学への応用に対して日本数学会の代数学賞をいただくことが出来た。大変光栄なことだと思う。ここ数年はコンパクト台コホモロジーに入る混合ホッジ構造の変動の理論もquasi-log schemesの理論の中に組み込み、長年懸案だったquasi-log schemesに対するReid--Fukuda型固定点自由化定理を完全解決することでquasi-log schemesの基礎理論を完成できたと思う。2021年度の前半は橋詰健太氏との共同研究で対数的標準中心についてのadjunctionとinversion of adjunctionを完全に解決することができた。この結果もquasi-log schemesの理論に混合ホッジ構造の変動の理論を組み込んだ成果である。また、極小モデル理論の最先端の話題も扱っており、我々の得たinversion of adjuctionはとても満足のいく結果である。2021年度の後半は極小モデル理論の複素解析化を実行した。代数多様体に対する極小モデル理論ではBCHMと呼ばれる大論文が存在するが、BCHMの結果をほぼ全て複素解析化することに成功した。すでにプレプリントは公表済みである。2022年度の前半は極小モデル理論の複素解析化をさらにおし進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この2年間、コロナ禍で全ての出張をキャンセルした。私はコロナをとても恐れる人間なので、必要最低限しか出歩かなくなった。元々他人と議論したり共同研究を中心に研究活動しているタイプではなかったので、コロナで孤立した状態の方が外野からの雑音が減って研究に集中できたと思う。私の数学の研究にとってはコロナによる人との接触の減少は明らかにプラスに作用したと思う。今後のことはわからないが、少なくともこの2年間のコロナ禍での研究は予定より捗っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の後半は極小モデル理論の複素解析化を始めた。とりあえず現在頭の中にある複素解析化の計画は今後1年か2年の間に全部実行してしまう予定である。数学の研究はその時の思いつきで面白そうな方に突き進んでいるだけなので、あまり将来の研究の具体的なことはわからない。
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